第30話 洗礼
「畜生‼ 早く歩け、コノッ コノッ‼ 」
「いぢめたらダメなのですっ。また歩かなくなるですっ」
棒を突っ込んで細長い箱で凍らせた氷菓子を、ペロペロ舐める日傘を差した子猫に、ヤレヤレと両手を広げると、耐え切れず長い耳の付いたフードを上げた。
山のような大きな甲羅に全身を包まれた巨大な生物は、古代種と位置付けられ、万年の時を超え今なお現存する生きた化石と呼ばれていた。危険を察知すると頭は勿論、手足をも器用に甲羅の中に引っ込める事の出来る特殊な生体だ。
乾燥地帯を好んで生息し完全防御に特化した身体は
巨大な爪と、その有り余る巨体を支える岩の様な硬い皮膚を持つ手足は、砂漠を横断するのには適しているらしく、日差しを激しく照り返し、灼熱と化した砂の表面温度さえも物ともせずに、砂丘を苦も無く越えて行く。
―――だが。
めっちゃ遅い―――
何なら歩いた方が速いが、灼熱の砂の上を歩くのは自殺行為らしい。きっと
「こんなにでっかい図体で草食なんて、信じられないわねッ」
敷物を敷いた甲羅の上で空間を歪ませ
「こんなの早く脱がなきゃ死んじゃうわよ」
現在ミューは、風呂屋で拝借したウサギの着ぐるみを着ている。これは特段好んで着ている訳では無く、脱衣所に置いてあったのを仕方なく一時的に借りたと云う
生臭いフード付きのコートには
いや然し、カエルはもっと小さい。ガンモと同じ位の背丈だったのだから、これを着ていたのであればかなりブカブカだろう。カエルがウサギだったのか、ウサギがカエルになったのか真相は
お気に入りの衣装は全てバケモノに引き裂かれてしまい、
ミューは未だにメタモルフォーゼの兆候が見られない事に、不安を拭えずに、少しばかりバルザの言葉を思い出していた。
≪俺達には謎が多過ぎる――― ≫
「チッ‼ 何だってんだよ畜生」
―――神格化の影響だろうか……
(今迄こんなに入れ替わりに時間が掛かった事は無い)
―――無事なんだよな?……
む~んッ と無い頭を
「イヤーカフス? 何ソレッ」
「―――えっ⁉ おねいちゃんって
どうやら降り立った惑星の女神により洗礼を受けると、この星の住人である星人権という証が与えられ、その星を管理する女神から2つ
女神は惑星に
逆にその惑星の女神に洗礼を受けてしまうと、住人の証である星人権が与えられ、住民登録の管轄区域により、在籍する星と国に税金を納付する義務が発生するとの事だ。
(ナニその特典w 一応アタシ女神らしいが全くしらねぇ~ぞオイッ )
この惑星を仕切る女神の
「これゎ冒険の時に役にたつのですっ、いきなり寒い場所に迷い込んだり、熱い場所にいきなり落ちた時なんかに直ぐに着替えられるのですっ」
(言いたい事はわかるけどッ 熱い場所にいきなり落ちる状況の下りを詳しく頼むよw 落ちたら溶けんじゃね? )
2つ目はバングルパスと云う物で、簡単に言うと腕輪型の簡易
―――へぇ~女神様って忙しいのねッ……
「じゃあノンも、この星の女神の加護を持ってるの? 」
「この惑星リジェイルは女神様ゎいないのですっ この星ゎ
「ふ~ん。まぁどっちの女神の加護が便利なのかって話になるわねッ」
「ノンゎ勿論、火星の女神様に頂いたのですっ 多分殆どの人が火星の女神様の加護なのですっ」
「何でよッ? 」
「そっ…… それはっ――― 」
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