第13話 死亡遊戯
空を覆う程の巨大な死神は、それを切っ掛けとし、影に潜む大鎌を振り下ろす。断罪の時を刻むと、怪物の首を狩りに掛かった。
―――処断せよ―――
その直後、闇の大鎌はガキャンと悲鳴を放ち弾かれると死神はその身をその場で大きく
―――巨大な生体
「グギャアァァァァ」
「なっ⁉ クソッ―― 」
この驚きは失念していた事への反射的反応。そして続くは、考えが未熟だった自分への怒りだった。冷静に考えてさえいれば相手も
―――
―――生命力は削ってある……
(ならば可能性は――― )
「随分と頑丈ねッアンタの
―――1撃さえ入れられれば……
ミューは
―――処断せよ‼―――
ガガンと激しく響き渡る大鎌の轟音に耐え切れず、バケモノの
「きゃははははッ これってどっちが早くシールドを割るのか
―――シールドを破れば勝利が確定し
シールドが破られれば死が確定する―――
すると少し離れた砂の中からボゴンと何かが飛び出した。
「みゃう~ げほげほっ」
「ゲロッコデメコゲコッ ゲホゲホッ」
置かれた状況すらも理解出来ていない二匹を、容赦無く数本のバケモノの触手が一瞬にして襲い掛かる―――
「クソッ――― 馬鹿ッ‼ 」
分割した
―――触手がミューの腹を突き破る―――
「 ―――ガハッ」
≪ ―――マスター‼ ≫
全ての時が止まり、目の前の出来事が瞳に焼き付けられ、スローモーションで過ぎて行く。
「みゃ―――――っ‼ 」
鮮血が辺り一面を憂いに染めて行く。
「みぎゃぁぁぁ―――――っ‼ 」
悲痛な叫びを上げ乍ら
「グボッ――― 」
ボトボトと
「ぴぎゃぁぁぁ―――――あぁぁぁ 」
大粒の涕が次々と溢れガンモは狂い啼く―――
「あ…… んなにッ…… 虐めたのに。お前は泣いて…… くれるんだね? ごめん…… よッ…… ガン――… 」
最後に名を呼ぶことも許されずミューは夜空に高々と突き上げられた。
「頼むよ…… カエルのアン……タッ ガンモを連れて…… 逃げ……て、早くッ‼ 」
カエルは泣き叫ぶガンモを羽交い絞めにすると振り返らずに走り出す。まるで後の事は任せろと
「みぎゃぁぁぁ―――――っ‼ 」
「気に…… す…… るな。アタシはッ…… タ…… シの…… 眷…… 属を…… 守っ……ガハッ だけだ…… はははッ」
「グギャァァァァァ――― 」
勝利を確信したバケモノは全てを粉砕するかの如く激しく闇夜に叫ぶ。夜空に掲げられたミューの身体は力なく血潮を撒き散らし虚ろな瞳をバケモノに向けていた。
≪マスタァー‼ ≫
「っは‼ もう……かっ 勝った気で…… いッ いやがる」
歓喜に沸くバケモノの頭に雫がビシャビシャと降り注ぐ―――
「今日は…… 特別に、お……男の蛇口か……ら サービスして……やる。こ……んな 可愛い子……のッ オシッコなんだ…… 喜べッ変態‼ キャハハ…… ハッ ゴフッ…… 」
「ギシャアアアアアアアア――― 」
怒り狂ったバケモノはその触手でミューの四肢を拘束し引っ張ると、ギリギリと力を強めて行く―――
「ガアァァァァ―――‼ 」
響き渡るミューの悲鳴が残響へと変わり夜空を埋めた。
≪マスタァァァァ――――― ≫
「こっ、これ…… がッ…… 皆が恐れる死の間……際…… ははッ…… 随分と酷い…… 痛みじゃ……んッ キャハハ」
ミューの瞳は徐々に光を失って行く。
その刹那―――
「すまん――― マザー」
―――無情にもミューの身体は一瞬でバラバラに引き裂かれた。
≪≪マスタァァァァァァァァ――― ≫≫
夜空には血肉だけが降り注いだ。
≪全権譲渡を確認。核力を統合。核分裂反応を誘発及び中性子を生成し反物質濃度を演算。圧縮隔壁を解除し臨界状態を維持――― ≫
マザーはバケモノに向いアンカーを撃ちこむ。弱くなった表皮に撃ち込まれたアンカーは突き刺さると同時に傘が開き容易くは抜けない。
≪一人では逝かせません――― ≫
―――これより本艦は敵本体殲滅の為。共に自爆する―――
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