第4章 政府崩壊へ

第30話 転覆への序章

 一斉蜂起にしても、いきなりは無理だ。

 夜な夜な、地下での工事が、秘密裏に始まりだす。


 その間も、レジスタンス自身の相互監視が行われ、情報の漏洩を防ぐ。

 個別に、作戦司令部に呼ばれて、秘密を持ち出そうとしていたチームAMがいたことを告げられ、各チームのチーフとサブに忠告が相互監視の命令と共に告げられる。


 その、チームAMだが、速やかに全員捕縛。

 下っ端は、何も知らず。政府の犬は、上位5人だったようだ。

 あーいや情報は、俺が藤子から貰った。

 素直に、べらべらとしゃべってくれたよ。

 政府特務。情報部隊という組織らしい。


 工作部隊との取引にも噛んでいたようで、仕事として単に橋渡しを行う。

 その功績で、こちらでの地位を上げていったようだ。

 ほかにも、犯罪者を集めて部隊に見せかけ、さも重要な作戦を展開中に見せかけて、それを、こちらにリーク。

 ダミー部隊を潰し。2重の手柄とするとか。


「とっても簡単だったわ。ねえ。しゃべったわ。お願い続けて」

 そう言って、這い寄ってくる。


「どうする?」

「まだ、隠していることが、あるかもしれない」

「さんせー。政府なら、色々な耐性を持たせる訓練をしているでしょう。寸止め五回」

 それを聞いて、藤子が後ろへ下がり始める。


「もう寸止めはやめて。おかしくなりそうなの。一番最初の強烈な快感がずっと頭にあって。ねえやめて」

「だーめ。静流そっちの足持って」

「はいよ」

 二人が足を持つ。


 全身くまなく、刺激しながら。ふっと放置。

 そんなことを、時間単位で行う。

 意識をリンクし、望みを理解し、わずかに外していく。


「さあ言いなさい。他かに隠していることは?」

「知っていることは、すべて話したから。本当よ全部。他の奴が握っているものがあるなら知らないけど。私の知っているものは、しゃべったからぁ」


「本当みたいね。流生やっちゃって。仲間が増えるわ」

 静流からのご命令。


「はいよ。じゃあ行こうか。夢の世界か、極楽か、俺には分からないけれど」

 全力プラス、気。全身の神経に刺激を与える。

「かっ。かはっ」

「あら? 息はしないと駄目よ」

 静流がのんきに言うが、やばそうな感じ。

 一気に刺激を与えすぎたのか、白目をむいてしまった。


 その後はもう。

「あんたは、新人だから、凪の下」

「えー。これでも、サブだったんだけど」

「ずるして上がった、チームでしょう」

「それはそうだけど、射撃も使えるし、格闘技もかなりいけるわよ」

「じゃあ試す?」


 そう言って訓練所へ行く。


「それじゃあ始め」

 横方向、右からか左からかは分からないシューティング用ヒト型ターゲットが流れてきたり、立ち上がってきたりする。

 藤子が使っているのはワルサーppkタイプハンドガン。

 エネルギーカートリッジ最大で約50発撃てるが、ノーマル弾倉だと15発。

 構造はプラズマ粒子をローレンツ力で撃ちだす。荷電粒子タイプ。

 

 だと思っていたら、大昔の、火薬タイプだった。

 音はまあ同じようなものだが、衝撃があるだろうに。

 見事に、腹と頭を撃ち抜いていく。ミスはどうしてもあるが、ヘッドショット部分が8点や9点。ボディは10点が多い。


 一方、凪は荷電粒子タイプ。

 発砲は、音速を超えるため音が出る。

 見事に、10点が並んでいく。


 それを見た藤子は、口を開けたまま放心状態。

「どうしてあの子。工作部隊でしょ」

「あーうん。でも負けだな」


 そう言っていると、凪がやってくる。

 ああご褒美か。そう理解し頭をなで連れて行く。

 紡と静流が遊んだおかげで、彼女の射撃は特別な能力を発揮する。

 まあ餌による反復。

 10点にあてると、ご褒美がもらえる。


 さて休憩?後、格闘技。

 こっちはね。

 今現在、凪は控えめに、三個のみバイオナノマシーンカートリッジタイプを埋めている。

 そのため、体は小さくても、普通の人間では相手にならない。


「あっ」

 と、いうまに投げられ、関節を極められ、すぐに締め落とされる。

 流れるような、動き。常人には、対応できない。

 これは普段から、紡と静流とのじゃれ合いのせい。

 日常が、格闘技の訓練になっている。

 打撃がないから、普段は平和だが、陰では知らない。


 これを考えると、日常が殺伐としているな。

 原因が俺だし。



 さて、そのほかにも、別動で3人ほど怪しい人物が捕まり、男だったので紡により自白させられた。

 内容は知らないが、一人は死んで二人が白状した。

 ちょっと、解剖したそうだ。

 ぼそっと活け造りがどうとか? 男の盛り合わせはつまらないとか言っていたけど。


 そんな平和も、2ヶ月を過ぎた頃に終わり、作戦が開始される。


「じゃあ行くか」

 チームとして、俺たちの下に各100名の部隊がぶら下げる。

 基本的に各チームのトップに、命令が行く。

 すると、次々、分隊へと伝わる。

 計画全体を知っているのは、トップチームとセカンドチームのみ。


 計画中に、捕縛されても知らなければ、答えようがない。

 つまり下の人間は、切り捨てるのが前提となっている。


 新月の深夜。

 地下の、旧バイパスを600人程度の人間が走る。


 今回の作戦で、紡の出した資料により、全員バイオナノマシーンカートリッジタイプを埋め込んだ。兵は一個、分隊長クラス以上は三個。その後、体の慣らしと訓練を二週間積んだ。


 藤子から、これね秘密は。ずるいと苦情が来た。

 だがその後でも、格闘技では勝てないようだ。

 いつも最後だから、多分そうなんだろう。

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