第5話 再会

 巨人の男の豪快な一撃、フィークスたちにとっては先ほどの悪条件で戦ったレギドラグスよりもかわすのは簡単だ。全員ひらりひらりとかわしていく。しかし、

「アッジ!ウスタ!いいのかど?このままじゃこの町はもっとめちゃくちゃになるど!わかったらこいつらをなんとかするど!」

(そうか、ああやって二人を脅して誘拐やら何やらやりたい放題ってわけか、しかし、こいつを何とか倒さなくちゃ)ほかの仲間たちも、それに気づいたようで少しだけ動きが鈍る。かといってこのまま鬼ごっこしていてはどうしようもない。ここまで来ておいて何もできないのかと思ったその時、巨人の男の背後から何者かが槍を投擲した。さすがに致命傷とはいかないもののかなりの威力で刺さったのだろう。首に刺さったその槍をズッと抜く巨人。振り向くとそこにはこれまた一人の男がいた。

「お、お前は!」フィークスが言う前にアッジとウスタが叫んだ

「ライオット!お前帰ってきたのか!」苦しむ巨人の下を抜けて、二人がライオットのもとに行く。

「お前どうしたんだよ!任務は一体」

「仲間が、任務中に行方不明になってな、初任務だったんだが、急遽休みになって帰ってきたんだが、なんだこれは1っか月と少し離れただけでこんなこと、って、、んん?」ライオットはぼろぼろの町を見回してその中でフィークスを見つけると、これまた驚いた声を出して

「ああ!フィ、フィークス!!お前生きてたのか!ってなんでこんなところにいるんだ?」当然である。彼こそ、フィークスと同じ討伐隊の部隊で、がけから落ちた時も当然いたからだ。フィークスは

「いやぁ、あそこから運良く助かって、それでそのままここに」話そうといたところ先ほどまで痛がっていた巨人が今度はさらに怒り狂って

「何ごちゃごちゃ言ってんだど!このスラゴラ様を本気で怒らせるとどうなるか教えてやるど!」そう言って先ほどよりもさらに攻撃が激しくなった。

「ちょっとフィークス!どうするのよ!こいつめちゃくちゃ怒ってるじゃない!」セティがフィークスに叫ぶ。するとライオットが何かを思いついたようで

「アッジ!確か俺の家にハンマーがあったはずだ!そいつをフィークスに渡してくれ!」

「あ、ああわかったぜ!」そういうとアッジは再びものすごいスピードで町のほうへと走っていった。なおも続くスラゴラの猛攻、仲間たちはそれをよけながら建物に被害が出ないように注意を向けさせるように立ち回った。エルダの支援もあって多少は持ちこたえられるが、それもだんだん押されてきた。それぞれが満身創痍の中、フィークスとライオットそれにウスタは抵抗を続けていた。

「アッジはもうすぐ来る!それまでは力をセーブしておいてくれよ!」

「あぁ!だが、この状態じゃあな、ってまずい!」直後にスラゴラがフィークスめがけて攻撃を与えようとしてきた。が、それをウスタが妨害する。

「大丈夫か!」これにはフィークスも驚いて

「あ、ありがとう」

「俺たちはもちろん、ライオットもハンマーは得意じゃない、ライオットのことを信じるならどうやらお前が俺たちの希望みたいだからな」

そうしていると遠くからアッジがやったきた。

「とってきたぜ!ハンマー!これであいつをガツンとやってくれ!」そうして渡されたハンマー。ライオットがスラゴラの背後に回り、槍による攻撃で隙を作る。その一瞬のうちにフィークスは近くの壁を利用して飛び上がり、一気にスラゴラの顔前へ迫る。そしてためていた力で目いっぱいハンマーを振りかぶり、一撃をぶちかました。これはかなり効いたようで

「うおおおおいっでええええ」と身もだえし始めた。そして

「お、おぼえてど!」そんなお約束の言葉をいいドシンドシンと足音を立てながら町の外へと逃げて行った。

「とりあえずは助かったのか?」フィークスが聞くと

「みたいだな」アッジが答える

「さて、聞きたいことが多すぎるのだが、今は戦った後だ、少し休憩したい」ライオットが提案した。セティたちも満身創痍だ。

「まだ向こうのほうに宿屋が残ってるぜ。4人はそこで今日は休んでくれ」

「なら、俺が送っていくよ。おっちゃんに話せばただにしてくれるかもな」

こうしてフィークスたちは先ほど通ってきた道を戻っていき、教えられた宿屋に着いた。宿屋に入ると店主のおじさんが

「おお、いらっしゃいアッジ。さっきまたあのデカブツが暴れてたけど何かあったのかい?ってまさかお前さんたちその傷」

「ああ、さっきまでそいつとやりあってな。ようやく追っ払ってやった。けがは逃げてるときのやつさ。何とかなる」

「そりゃあ、なんとまぁ、いやぁほんとにありがたい」おじさんは茫然としていたが、しばらくすると元に戻り、

「あ!あのでかい野郎を追っ払ってくださったんですよね!ありがとうございます。こんな状態なのでどこの部屋でも空いてます。うちは幸いそこまでの被害がなかったのが救いですね。」そうしてフィークスたちはそれぞれに部屋をとり、そこで疲れをいやした。

 次の朝、支度を済ませて部屋を出て、宿屋の一回のほうへ行くとそこにはセティたちとライオットがいた。

「フィークス。やっと起きたか」

「あぁ、おはよう。みんなも元気そうでよかった」

「そういえばフィークスとライオットは同じ討伐隊なのよね?」

「あぁ、にしても不思議だな。自分で言うのもなんだが、討伐隊での事故、それに下っ端みたいなやつが一人行方不明になっただけで同じ部隊のやつらを休みにさせるなんて」

「まったくだ。ってお前の前でいうのも失礼だが、不自然なことは不自然だよな。まぁ討伐隊に戻れば、また話が来るだろう。お前も一回、ブレイミーに戻るだろ?」

「そうしようと思ってたんだ。俺はそれでいいんだが、セティに二人はどうするんだ?」

「私たちはヒルミに戻ります。そうだ!皆さんにまだ言えていなかったことが、私の身勝手でこんなことになってしまい申し訳ありませんでした!」謝るエルダに対してセティが

「大丈夫ですよ。エルダさん。むしろこうして人助けできていい気分なくらいだし」フィークスも同じ気持ちだ。

「私も家に戻ろうかな。新しい薬とか魔法も開発したいし」

「そうか。じゃあみんなとはここでお別れだな。ありがとう。みんなと会えてなかったら、こうして討伐隊に戻るとこまで行けなかったかもしれない。危ないこともあったけどみんなといれてほんとによかった。またどこかで会えたらその時はよろしく」

そういって宿屋を出たところでフィークスとライオットはアッジとウスタに出会った。

「おお!まだいたか!おわびもできないところだった。ほかのやつらにはまたするけどひとまず」二人はフィークスに向けて謝った。

「迷惑をかけてすまなかった。身勝手なことばっかりした挙句利用して」

「俺ならいいんだ。謝るのはエルダさんたちにしてくれ。俺はその時助けを必要としている人を助けただけだからな」そういうと二人は

「そうか、ならありがとう。もしなにかで力になれる時があればこの恩はその時に返すぜ」こうしてフィークスはライオットとともに討伐隊の本部のあるブレイミーへと戻ることにした。

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