少年の手紙

 ○×中学校生徒会長様


 いきなりのお手紙で、驚かせてしまったと思います。

 ぼくは、◇◆中学校の生徒会のものです。

 先日の交流会であなたとディベートをしました。


 あのときはうまく話せなくて、あなたに退屈に思わせてしまったかもしれません。

 でも、ぼくは、はっきりと自分の意見を言うあなたの姿に驚き、そして、憧れています。

 あなたのように、自信を持って話せるようになりたいと思っています。

 そんなときに、ある鳥(鳥だと思います)があなたのところまで届けてくれるというので、こうして、手紙を書いています。


 ぼくは生徒会の仕事を、楽しいと思っています。

 漫画や小説みたいに、大忙しということはないけど、クラスの外にもよく顔をあわせる人がいて、いろいろと話ができることで、学校生活の楽しみが増えています。


 さいきん、どこかの記事で、「頼れる先を増やすことが自立につながる」と読みました。

 クラスで嫌なことがあっても生徒会では別の話ができるし、家族に助けてもらうことができます。

 あなたが、ぼくと同じように感じているかは分かりませんが、学校の外でも、相談をしたり、話ができる相手がいたら、もっと楽しみが増えるんじゃないかと思います。

 ぼくが、あなたの助けになれたらいいな・・・と思いますが、それは、たぶん、時間がかかりそうです。


 いきなり、どこかでお話したいなんて大それたことは言いません。

 ただ、気持ちを伝えたいというわがままな手紙を送ってしまって、メイワクかもしれません。

 でも、あのディスカッションをした時間のおかげで、ぼくは前向きになれたと思います。

 よければ、憧れている人の名前を知りたいと思います。

 あなたの名前だけでも、教えてもらえないでしょうか。

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