異世界支援課
第3話 異世界支援課 ①
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竜宮市役所 異世界支援課】
「何これ…、ゲーム?」
不思議そうに小首を
「でもこれ、市役所よ。ゲームなんてあるかしら?」
「だったら近いし、市役所で聞いてみよう」
言うが早いか、お菊の手を取って、亜衣がそそくさと歩き出す。
「ちょ…ちょっと、亜衣!」
あまりの
「本気でこんな内容を信じるの⁉︎」
「だから直接、確認するんだよ」
「う…」
ぐうの音も出ない正論である。
二の句も継げずに悩んでいると、既にそこは市役所の前。
ここまで来たなら仕方ない。
お菊は腹を決めた。
「分かった、行こう」
「そう来なくっちゃ」
無邪気な笑顔を浮かべる亜衣に、お菊は小さな溜め息を吐いた。
そこには、
少しの不安と、たくさんのワクワク感が詰まっていた。
〜〜〜
入り口の自動ドアを通過すると、左右に広がる広いロビー。
筆記台で何やら書いてる人や、ソファに座っている人、カウンターの向こうには
ほぼ初めての訪問である。
お菊は思わず、息を飲んだ。
そんなお菊の手を引いて、亜衣がスタスタと真正面の案内カウンターへと歩いていく。
座っていたのは、眼鏡をかけた、少し丸めの女性職員。
「すみません、異世界支援課ってとこに行きたいんですけど」
亜衣のその質問に、女性職員の柔和な笑顔が一瞬
「恐れ入りますが、そのような部署の名称を、どこでお知りになりましたか?」
それから物腰柔らかく返された質問に、お菊は妙な違和感を覚えた。
「あ、えと…」
亜衣も同じく感じ取ったのか、彼女にしては珍しく
そんな出鼻を
「私たち、駅前広場の掲示板を見て来たのですが、こことは関係ありませんでしたか?」
「駅前の掲示板⁉︎」
お菊のそのひと言に、女性職員の表情が一変し、声が
「しょ、少々お待ちください」
その後、慌てた様子で内線電話の受話器を取った。
「ロビーです。駅前の例の掲示板を見たと言う方がいらっしゃっています」
いきなりの展開に戸惑いながらも、亜衣とお菊は、女性職員の様子を黙って見守る。
電話口で相手から何か指示でも受けているのか、「はい」「はい」と繰り返していた女性職員が、そのとき言葉に詰まった。
「それが…」
それからチラリと二人に目を向け、
「中学生くらいの女の子が二人なんです」
困った様に、そう告げた。
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