第15話 離婚の危機~あなたにありがとう~

「唯南、これからの事を話し合いたい」

「…離婚で良いんじゃない?」

「…えっ…?」

「…私は、やっていく自信ないから」

「唯南…お前…本気で…?でも!俺は…」

「私は分からないの!圭吾への想いが!」


「…唯…南…」


「離婚が無理なら距離おきたい…だけど…一層の事、離婚もありだと私は思う…離婚も結婚も区役所に行って紙さえ貰えば手続きは簡単に出来るから」



「………………」



「私は、3月いっぱいで今の所の臨時教師は終わるから、ここにいる理由はないし。口実は出来る。次の所はまだ決まってないけど、正直、今の環境から解放してもらいたい」


「…唯…南…お前…」


「彼女の方も、それを望んでいるでしょう?例え圭吾に、その気はないとしても文句を言われるのは私だから。今後の事は前向きに考えて欲しい。それが私の本音かな?」



「………………」




「だから、これ以上話す事は何もない」




そう言うと私は一人になりたくて部屋を後に外出する事にした。



カチャ



「あれ?唯南さん出かけるん?」

「あ、うん」




玄関先でバイトから帰ってきた斗弥君と鉢合わせになった。




「そうなんや。行ってらっしゃい!気をつけてな」

「うん。ありがとう」



すれ違う私達。




「………………」




カチャ


後を追う斗弥君。




グイッ

私の腕を掴む斗弥君。


ドキッ



スッ


背後から抱きしめられた。



ドキッ



「…斗弥…君…?」




「何でやろう…?唯南さんが遠くに行く気がして仕方ないねんけど…」


「やだな~…学校で会えるんだし大丈夫だよ」


「学校で会えるとしても…こっちで会えないなんて淋しいで」




抱きしめられた体を離す斗弥君。


私は背を向けたまま、


「…斗弥君が…いてくれたから、ここまで来れたんだと思う」



振り返る私。



「私の心の支えだった。泣いたり…笑ったり…馬鹿しあえたり…本当の自分をさらけ出せた相手だったと思う…いつも傍にいてくれて…私…本当に…」



何故か涙がこぼれそうになる。私は涙を堪え下にうつ向く事しか出来なかった。



「…本当…ありが…」




顔を上げながら言う私を言い終える前に抱きしめる斗弥君。



ドキン




「…俺じゃ、圭兄の代わりにならへんのか?」



「………………」



「…なんて…なるわけないよな…だって…代わりていてへんからな…」



抱きしめた体をゆっくりと離す斗弥君。




「行ってええよ」

「…えっ…?」

「このまま一緒におったら俺…別れたくなくなる」

「…斗弥…君…」

「早よ行けや!」




私は去り始めると車に乗り込む。



そしてバックミラー越しから斗弥君の姿を見る。







本当は何処か追い掛けて


引き止めて欲しかったのかもしれない



本当に このままで良いのだろうか?




一人になりたくて


そう思うも


私は帰らなかった



そのまま別れる方向で


私は友達の所から


残りの日数の臨時勤務の先生を


通い続けた




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