第14話 ふたりきりの夜

あれから私達の関係は、更に悪化していく。


両親の前では、仮面夫婦で演じるも、どう見えてるかは分からないけど、正直、辛いし、きつい部分がある。


そして、また圭吾は、出張に行った。



「圭兄、出張なんやて?」

「うん」

「…例の女と一緒なんやろな?」

「そうかもね」

「…なあ…唯南さん、今後どうするん?」


「…えっ…?別に特には」

「せやけど、このままやったら…」

「…そうだね…」



「…………………」



「大丈夫!斗弥君は何も心配しなくて良いし気にしなくて良いから」


「いや…俺は気にするで!」


「えっ?」


「当たり前やん!家族やから!」


「…そっか…ありがとう」


「…まあ家族だけやないけど…」


「…斗弥君…」


「だって俺…好きやから」





ドキッ



「…斗弥君…や、やだな~。何となく聞いていたけど…家族としてなんでしょう?」


「ちゃうで!」


「えっ?」


「俺は唯南さんの事は好きや!先生としてでも家族としてでも含む恋愛としてや!」


「…斗…」




グイッと抱きしめられた。


ドキッ



バッと抱きしめた体を離す。



「…すまん…バイト…行ってくるわ!」

「…あ、うん…」



突然の事に胸がざわつく中、胸がドキドキ加速する。




その日の夜─────



「ただいま」



ドキッ


「おかえり」



胸が高鳴るも、平静を装いながら、



「お風呂にする?ご飯にする?」

「あー…お風呂で」

「分かった」

「唯南さん…さっきの事なんやけど……」



「さっき?あー…うん。大丈夫だよ」

「あれ、マジやから!」

「えっ?」

「嘘やない!俺は唯南さんの事、好きやから!」




ドキッ


「…うん…別に…信じてないわけじゃないし…」

「…そっか…ほな先にシャワー浴びてくるわ」

「あ、うん…」




私はキッチンで準備して、斗弥君を待つ。




「なあ唯南さんは、お風呂入ったん?」


キッチンに来る斗弥君。



「えっ?私?ううん。一人じゃ不安だから、まだ済ませてなくて」

「一人?えっ?なんで?両親、いてへんの?」

「うん…」

「それやったら先に済ませたら良かったやん」


「そうなんだけど、流石に一人の時って来客とか来た時に対応必要なわけだし。後からでも良いかな?って…」


「せやけど…」


「とにかく、ご飯済ませて!私はそれからでも遅くないから」


「いやいや、それやったら今、入ってきぃ。俺は小さな子供やないねんから好きな様に食べたいだけ、ご飯食うから、唯南さんは、お風呂!ほら!行くんや!」



お風呂に行くように促され私は行く事にした。




しばらくして─────



まだリビング、キッチンの灯りがついている事に気付く。




「あれ…?」



カチャ



「…斗弥君…部屋に行ってなかったんだ」

「行くわけないやん!何かあったらアカンやろ?」

「大丈夫だよ」


「大丈夫やないから一人の時に、お風呂入らへんかったんやろ?時間は、たーーっぷりあったんやから」


「それはそうだけど…」


「ほな、部屋に行くで!」

「いや…でも明日の仕込み…」

「明日の仕込み?」

「米…研がなきゃ」


「じゃあ、しいや。俺もいてるから。ちゅーか、米頼めばしてやったのにから」


「…いや…」

「米くらい洗えるで!」

「それはそうなんだろうけど…」

「洗剤で洗うとか思てるやろ?」

「いやいや思ってないから」




私達は騒ぎつつも私は用事を済ませ部屋に移動した。



「一人で大丈夫か?」

「えっ?」

「添い寝せんでもええか?」

「大丈夫です!むしろ一人が気楽だし」


「それもそうやな?イビキかこうと寝言を言おうと、一人が恥ずくなくてええしな?」


「そうです!それじゃ、おやすみ!」




私は部屋に行き寝室へと行った。











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