第9話 迷い と 不安

「ねえ、ねえ、最近、先生変わったよね?」

「うん分かる!」

「前に戻ったというより明るくなった気がしない?」

「臨時だったし、やっぱり不安とかあったんだよ」

「そうだよね」




その日の授業中─────



「こらっ!」



コツ

教科書で軽く斗弥君の頭を打つ。




「イテッ!何すんねん!」

「授業中です!」

「ええやん!授業中やから眠くなる…」


「つまらない授業で悪かったですね!はい!罰として34ページ読んで!」


「えーーっ!!」


「えーー!じゃない!ほらっ!」




読み始める斗弥君。



「そこじゃないわよ」

「だって34ページやろ?何処がちゃうの?」

「確かに34ページだけど、場所が違います!」

「ほな、先生が読んで?」

「あのねー」

「先生が場所教えてくれへんから」

「寝ているのが悪いんでしょう!?」




クラスに笑いがおこる。



「2人の子供が喧嘩してるみたい」

「そうそう」



「先生と生徒です!子供じゃないから!」

「ほな、先生と生徒やなかったら何歳時位やろ?」

「えっ?」

「小学生?幼なじみとかやったら年齢関係ないな~」

「あのねー」



クラス内に笑いが再びおこる。



私は教壇の方へ行く。



「先生、読まんでええの?」

「もう良いです」




ある日の学校帰り─────



「あれ…?圭吾…?」



私は声をかけようと歩みよるも隣には会社の上司と思われるような女性の人と肩を並べて親しそうに仲つじつまそうに歩いていく。




「………………」




その日の夜─────




「圭吾」

「ん?」

「圭吾って仕事帰りに飲みに行ったりする?」

「まあ付き合いで上司や同僚と行ったりするけど、結婚して、ほとんど行かなくなったかな?」

「そうか」

「どうして?」

「ううん。ちょっと聞いてみただけ」

「そうか」

「うん」







隣に女の人と街歩いて


親しそうに仲つじつまそうに


歩いている姿を見て


信じる事が出来ない自分が


腹立だしかった


結婚相手の事


信じられないのは


心に迷いと不安があるから……?




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