第2話 ハプニング

図書室。


私は本を返しに来て、次の本を借りる



「もう少しなのに……」




届きそうで届かない本棚。




そして─────




「あっ!」



背後から別の手が伸びてくる。


視線の先には────





「…斗…弥…く」

「学校で下の名前は呼ばんといてな」

「…あ…ごめん…」




そして去って行く。





数日後─────



「唯南先生」



ビクッ



「きゃああっ!」



グラッ ガタガタ


椅子の上に乗っていた私はバランスを崩し落ちそうになる。




「あっ!先生!」




ドサッ


転倒する私。




「ったー」

「すみません…先生…大丈夫ですか?」

「…何とか…私こそ…すみません」

「…ちゅーか…早よ降りてくれへん?メッチャ重いねんけど?」



ビクッ


下から関西弁で言ってくる声に驚くも視線を向けると



「えっ!?わわ…ごめんっ!」

「…斗弥君、大丈夫?」



クラスの女子生徒達が心配そうに聞いてくる。




「先生のデカ尻で…下敷きなってもうたわ…骨折れたかもしれへん…」


「えっ?ちょ、ちょっと…大丈夫?」




私も女子生徒も心配して尋ねた。




「先生、ダイエットした方がええんちゃう?」

「えっ?」

「ほらっ!早く降りろや!」

「あ、ごめん…」



私は降りる。



そんな彼は起き上がり立つ。


普通にピンピンしている。



「ねえ、ちょっと…本当に…」



私の目線に腰をおろす。



ポンと頭をされる。



ドキッ



「検査受けてから慰謝料取り立てるわ!」



ニカッと笑い、イタズラっぽい笑顔を見せる。




「えっ!?い、慰謝料ぉぉっ!?」

「……嘘や!アホ!真に受けんなや!ほな、さようなら!先・生」




そう言うと教室を後に帰って行き女子生徒も帰っていった。




その日の夜─────




「アハハ…」



圭吾に放課後の出来事を話す。



「もう!笑わないでよ!」

「斗弥も面白い事言うよな?」

「ちょっと!圭吾は私の味方なの?敵なの?」

「味方だけど」

「本当に?」

「本当だって」

「…もう良い!寝る!」






私は眠る事にした。






それから1ヶ月が過ぎ──────10月



「学園祭の出し物を各々出し合って下さい」




その結果、お化け屋敷となった。


そして着々と準備が進んでいく。





11月。


学園祭、当日となり一日目が終わる。


その後、スムーズに何事もなく学園祭は無事に終了。




振替休日の日。


私はキッチンのソファーで腰をおろしていた。



「おはよーさん」

「あ、おはよー。斗弥君。早いね」

「バイトやし」


「そうなんだ。バイト大変だね?今日くらい、ゆっくりすれば良いのに」


「あー、そうしたいところやけど、しゃーないやん!ボンビー暇なしやから」


「ボンビーって…別に貧乏でもないじゃん」

「あんたこそ、ゆっくりしてればええやん」

「私は友達と出かけるんですー!久しぶりのショッピング!♪」

「オシャレしても見せる相手は圭兄だけやん!」


「うるさいな、女性は常にオシャレして自分を磨くんです!第一、圭吾がいても外に出れば一人の女なんだから!」


「誰も見向きせんのとちゃうん?ちゅーか、旦那いて色気出してどないすんの?」


「別に色気なんか出してないです!もうっ!早くバイト行ったら?」



私はそう言うとキッチンを後に去った。






その日の夜──────




「きゃあああっ!」


「うわあああっ!すまんっ!」




脱衣場。


弟の斗弥君と遭遇。



「どうしたの?」と、お義母さん。


「いや…あの…まさか唯南さんが入っていると思ってへんかったから!」


「やだ!のぞき?」


「いや!いや!いや!ちゃう!ちゃう!ちゃうで!ホンマにちゃう!」




家の中は騒々しい中、夜は更けていった。

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