第4話 外出先

「Hiroto 君、最近、調子はどうだ?」

「調子ですか? 良くも悪くも普通やな」

「そうか。じゃあ、そろそろ次の曲を出す方向に検討しないか?」

「そうやな~」






××××××××××××××××××××




「古西さん」

「何でしょうか?社長」


「この書類を ○○コーポレーションに今日中、直接渡しに行って貰いたいんだが……」


「○○コーポレーション…分かりました」


「すまないね。会議が控えているから足を運べなくて。ファクスで出来る書類じゃないからな」


「はい。昼休みにでも足を運びます」


「ああ。助かるよ」





そして昼休み────



私は社長に言われた通り足を運ぶ、その社内での事だった。




ドンッ


誰かとぶつかる私。



「きゃあっ!」



ドサッ バサバサ……


転んだ拍子に書類が散乱する。




「すみません!あの大丈夫ですか?」


「俺は大丈夫やけど、あんたは平気か?怪我してへん?」


「はい…私は大……丈…夫……」




ドキッ



「うわっ…っ! Hiro……」

「しっ…!」

「あ……ごめん…」




私達はコソコソ話をしながら書類を集める。





「はい!書類」

「あ、ありがとう…すみません…」


「しかし OL も大変やな?超ミニスカートのスーツ着て上司と、あんな事やこんな事して不倫とか愛人」


「辞めて!私はそういう人間じゃありません!誤解を招くような発言しないで!しかも!超ミニじゃないから!」


「そんなムキにならんでもエエやん!彼氏もいてへんやろうし関係持った仲やん!俺以外とはやる気せーへんのやろ?」


「勝手な事、言わないで! 第一、一回だけでしょう?それじゃ失礼します!」





私は足早に去る。






「…一回…やないっちゅーねん…アホ…」







隣人であり気付いたら友達。




でも Hiroto という人間は、


薪屋洋渡(まきやひろと)と同一人物で、


私だけが知ってしまった特権!?








でも ただ1つだけ



『真実』 が まだ残っている



2人の関係





そして その真実は




彼しか知らなかった








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