第3話 笑顔で幸せと言えるまで・・・

数年後─────20歳。


高校の時の彼との出来事なんて、すっかり忘れていた。


記憶は曖昧で、ハッキリとは覚えていない。




「優奈、飲み過ぎだよ!」と、由樹絵。


「飲まずにいられないんだってば!」


「…優奈…」


「…私って…昔から男運ないんだよね……遊びだったりしてさー。私…何の為に生まれてきたんだろう?由樹絵、私の事は良いから、もう帰って良いよ。ありがとう…付き合ってくれて」


「…でも…そういうわけには…心配だし、何かあったらって気が気でないから!」


「…分かった…じゃあ帰る。自分の部屋で飲むから。だったら大丈夫だよね」


「当たり前だよ」




私は由樹絵にタクシーに乗せられ帰る事にした。




ガチャ バタン

部屋に帰るなりベッドにゆっくりとダイブ。




次の日─────



目を覚ます。




「…頭…痛い…飲みすぎた……」




「………………」




ドキッ


目を覚ます視線の先には後ろ姿の人影。




《…あれ…?えっ!?誰…?この人…》

《やだ…もしかして…私…持ち帰りしちゃった?》





正直昨日の記憶は一切覚えていない方が正しい。



すると後ろ姿の人影が寝返りを打つ。



ドキーーッ





「きゃあああっ!」





ズルッ ドサッ





「ったぁ~」




ベッドから落ちる私。




「大丈夫?あんた」と、男の人の声がする。




スッと顔を出す男の人。





《…この人…確か…》




「あんた……誰?」

「いや!私が聞きたい!」

「あんた良く見るとイイ女じゃん!」




ドキン


クイッと顎を掴む男の人。




「な、何…?」


「朝から女とHすんのも良いかもな?」


「えっ…?な、何言って…第一…私彼氏にフラれて…ブルー入ってて…そんな気…」




グイッと私の手を掴み立ち上がらせ、ベッドに両手を押さえつけては私の上に股がった。




「普通逆じゃね?フラれたんなら尚更、一人になりたくないのと寂しさを紛らわし忘れる為だけの関係ありだろ?」


「や、やだ…何考えて…第一あんた俳優の Hirotoじゃん!」

「あー、そうだけど」

「…えっ…?関西弁…じゃ…ない…?」

「あんた、どっちの俺が好み?」



「はっ?…ていうか降りて下さいっ!私、色気も何もない…出て行ってよ!」


「お前が出てけよ!」

「えっ!?何言って…だってここ…私の部屋…」

「馬鹿じゃねーの?良く見てみろよ!どう見たって女の部屋じゃねーだろ!?」



辺りを見渡す。



「あっ…し、失礼しましたぁっ!!」




帰ろうとする私。




グイッ



「ちょっと待てよ!」



腕を掴まれ呼び止められた。




「今日は1日外出禁止!」

「えっ!?そんなの困…」


「困んのは俺なんだよ!部屋、間違って入って来られていたとはいえ十分犯罪だから!熱狂的なファンじゃねー限り、ここにはまず来ねーし」



「………………」




「罰として1日留守番!いいな!」




「……………………」




「分かったのか?分かってねーのか返事は?」

「わ、分かりました!…ていうか性格違いすぎ……」


「うるせーよ!後で仕事終わり次第連絡するからさ、携帯番号教えろ!」


「…えっ…?」


「じゃあ今日から同居するか?勿論、H付きで」

「嫌です!」

「だったら教えろ!」



私は渋々、番号を教えた。





その日の夜──────




私の携帯が鳴った。



「はい」

「なあ、腹減ったやろ?なんか買(こ)うてこか?」

「関西弁…?Hiroto って一体何者なの?」

「芸能人」


「それは分かってるし!とにかく早く帰って来てよね!後、昼、余りにもお腹が減ってから物色させてもらったから!」


「そうなんや!別にええねんけど倍返ししてもらうで」

「ば、倍返しって…意味分からないんだけど!」

「とにかく今帰ってるから以上!」



電話が切れた。




「嫌な感じ…絶対にどっちも嫌だっつーの!」




しばらくして──────




「ただいま」

「お帰り!じゃあさようなら!」



グイッと引き止められたかと思ったらキスされ、ベッドに両手を押さえつけた。



「や、やだ!何す…」

「俺とキス出来るなんてラッキーだろ?」

「何言って…」

「男いたんならHするくらい減らねーだろ?」

「冗談じゃないし!」


「元々間違ってお前が入って来たんじゃん!この際さー、マジ同居しねー?」


「断る!つーか…本当に噂通りだね?手が早いとか?やるだけやったらポイっなんでしょう!しかもあんたバツイチって話じゃん!」


「そうだけど?」

「…最低…誰があんたとHするかっつーの!」



強引にキスをされ深いキスをされ、気付けば肌が露になっていた。




「や…」





すると彼の動きが止まる。




「……これ……」

「…えっ…?」

「お前の?」



ネックレスに目が止まったようだ。


ネックレスに触れる。




「…貰い物だよ……」

「貰い物?」



「私が失恋してブルー入ってる時に……ストリートライブしている人からお守りだって貰ったんだ…顔も名前も知らない人だったけど…すっごい優しい人って…失恋してたからか凄く優しく感じた……今…何処で何しているか分かんないけど…でも…何処かでアーティストとして頑張ってくれてたらいいなって……」



「好きなのか?」


「分かんない…でも…もう一度会えた時は、お互いが幸せであって欲しい…そう思うから…胸張って笑顔で幸せだよって…言えたらと思う…だけど……今の私は…幸せじゃないから……胸張って笑顔で…幸せだって…言えないよ…」




私は涙がこぼれそうになる。




髪に触れる Hiroto。




ドキン






「…涙…見せないでくんねーかな?……俺…あんたの涙…見たくねーから……」


「……Hiroto……」


「なっ!」




微かに微笑むも何処か切なそうに悲しい表情を見せる Hiroto。


でも何処か優しくて────




スッと私から離れる始める。





グイッと私は腕を掴む。



「…どうかしてる…私……軽い女だよね……」



片頬に触れる Hiroto。



ドキン


キスをする Hiroto。





4度目の奇跡?




それとも・・・・・




5度目の奇跡?




お互いの記憶が定かで


ハッキリしていれば


5度目なんだよね……?




ライブのあの日と


今回の出来事を


1つにする事




どうしてか……?って…



だって



ライブのあの日は


お互いに距離があったし


お互いが気付いてるなんて保証がないから




今回はハプニングで


そしてお互い忘れている事



だけど……



関係を持った事で


カウントが左右されるよね・・・?











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