(二)-12

「いくちゃん?!」

 愛希子は思わず声を上げてしまった。暗闇で相手の姿は見えなかったが、愛希子のことを「あきちゃん」と呼ぶのは、昔からの幼なじみの郁美だけであったからだ。

「こんなところで何をやってるの?」

 郁美は持っていた何かをすばやく地面に置くと、右手で愛希子の口を手で押さえてきた。そして「しーっ」といいながら左手の人差し指を自らの口に当てた。

 郁美の不意の行動に、愛希子は焦った。しかも静かにさせようとしている。きっと何か秘密があるのだろう。かつて自分の家の庭だったところで、一体何をしていたのか。


(続く)

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