(二)-4

 その後、愛希子は郁美の状況についてあれこれ尋ねてみたが、やはりあまり多くは教えてはくれなかった。昔はもっと色々おしゃべりしたのだが、大人になって変わってしまったのかもしれない。

 確かに愛希子はまだ独身だが、結婚した同級生などにはすでに小学校高学年の子どもを持つ親になっている者もいた。昔と同じであるわけはないのだ。

 それに、同窓会の参加メンバーが、翌日昼間に花見をするので一緒に行かないかと誘われたのだが、その際、郁美は「私、桜が嫌いなの」といって断っていた。桜が嫌いな人がいるのかと愛希子は少し不思議に思った。

 そういうこともあり、高校を卒業して会わなくなって以降、郁美に何かあったのだろうと愛希子は推察だけして、それ以上は聞かないことにした。


(続く)

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