(二)-3
このとき愛希子も郁美に声を掛けて話をした。しかし、今何をしているかなどはあまり教えてくれなかった。とはいえ、愛希子は郁美に実家のことを尋ねてみると、これについては答えてくれた。
「実は母親が昨年末に亡くなったの。それで遺産を相続することになったんだけど、もう住まないから手放すことにしたのよ。誰かに住んでもらえればいいかなと思ってね。そのまま売りに出したの」
郁美はそう教えてくれた。一体何があったのか心配したが、とりあえず、事情がわかって愛希子は安心した。
(続く)
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