(一)-3

「それならそうと事前に連絡を寄越しなさいよ。お父さん、もう寝ちゃったわよ」

「同窓会に出るだけだから」

「いつあるの?」

 母親がソファから体を起こしながら愛希子に尋ねた。

「明日の夜」

「そう。何か食べる?」

「うん。軽く何か作ってくれるとうれしい」

 母親は立ち上がるとダイニングからキッチンへと入っていった。

「ところで、いくちゃんちって……」

 母親の代わりに愛希子がソファに腰掛けながらそう切り出した。

「ああ、郁美ちゃんの家ね」

 緒華が娘の声を途中で遮った。母親もそのことを話したかったのだろうと愛希子は察した。


(続く)

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