(一)-2

 とはいえ愛希子は郁美ともうずいぶん直接会っておらず、事情も全然知らなかったし、想像もできなかった。

 実家にたどり着いた愛希子は玄関のドアを開けて中に入った。靴を脱ぎ玄関を上がり、廊下を進み、ダイニングに入った。

 ダイニングにはまだ灯りがついていた。というのもすでに十時を過ぎていたにもかかわらず、母親の佐野緒華がまだ起きており、テレビを見ていたからだった。

「ただいま」

「あら、お帰り。久しぶりじゃない。今日はどうしたの?」

 緒華はソファで横になったまま、愛希子の方を向いていった。

「同窓会があるのよ」


(続く)

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