第4話 部活に合宿はつきもの
ある日部長が
「ゴールデンウィークに短期間の合宿をやるぞ。これが表の計画書だ親御さんの許可をもらっておくように。」
と一枚のプリントを手渡してくれた。
[6日間の合宿、体力増強とサバイバル能力の向上を目的とした山岳訓練。]
と書かれてあった。
「おじいちゃん、今度の連休部活の合宿に参加するね。」
と言いながらプリントを差し出す私の顔を見ながらおじいちゃんは、
「恵、お前随分元気になったな。これも部活のおかげかな?山岳訓練か、気をつけて行くんだよ。」
と言うと承諾書欄に印鑑を押してくれた。
恵の祖父母
「おじいさん、恵ももう大丈夫みたいね。」
「ああ、ここにきた時は友達もできず、心配したが体も丈夫になって勉強も良くできるようだ。もう心配はいらんだろう。」
と老夫婦は笑いながら孫の成長を話す。
冒険者活動で体力はもとより健康で若々しさと明晰な頭脳をスキルで得た恵みは、高校でも常にトップの成績を誇っていた。
容姿やスタイルも同級生が羨むほどの変貌を遂げ始めて、逆に声をかけられづらくはなっているが今の恵みには関係のないことだった。
合宿の日
早朝から家を出ると学校に向かう恵。
校門をくぐり校舎に向けて歩くと程なくしてあの矢印が目に入る。
この矢印は異世界に行くことのできる素質を持つ者だけが見つけることのできる道標なのだそうだ。
初めてこの道標を見つけたクレナイ部長は、あの教室にたどり着くと部活動日誌を見つけたそうだ。
それにはあの街と森のことが書かれており、歴代の部活生が冒険者として活躍してその後の人生を謳歌しているそうだ。
ただしこの世界ではその話はタブー、お互い素知らぬ顔で生活している。
不思議なことに学校を卒業すると2度と部活に参加できないそうだ。
私は部活の教室に着くと持ち物を確認するために、アイテムボックスからブレスレットに必要な品物を入れ替えると更衣室で冒険者の服に着替える。
今ではショートソードも片手剣に変わって、背には弓が背負われている。
スキルは、新しく
剣術、槍術、弓術、体術と属性魔法が加わっている。
そう私は攻撃魔法が使えるようになっていた。
暫くするとくれない部長が現れて、今回の合宿の予定を話し出した。
「今回は約1月の異世界生活になる。」
異世界は地球に時間軸と違い約5倍の時間となるため6日で30日となるのだ。
「今までと違い今回は大物を狙います。それからお宝も予定してます。」
と言う部長に私は
「とうとうドラゴンですね。ダンジョンも行くのですか?」
と少し興奮気味に尋ねると、笑顔で頷いてくれた。
「やったー!」
異世界でドラゴンスレイヤーは特別な冒険者だ、ランクに関係なく尊敬を受ける称号なのだ。
それとダンジョン攻略も同じく冒険者の夢だ。
期待を胸に私たちは、扉を潜る。
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