時間という概念を壊す物
交代で監視を続けていたが、
これといった動きはなく三日ほどすぎた。
人の集中力なんてものは、時代が変わっても長続きするわけでもなく、動きが無い事に若干の苛立ちすら感じていた。その時だった。
モニターのアラームがけたたましく鳴り響きだした。
「おいおい奴さんついに動き出したぞ。見失うなよ。」
そう言って司令官も一緒に周波数の検索を始めた。しばらくするとアラーム音が小さくおさまってきた。奴の動きが少し落ち着きつつあるようだ。
BLUE CATが時間の移動を始めると、必ずといっていいほどに、今まで常識的に思っていた事が
『歴史の改竄は大罪だ。』
今まで存在していた物が突然亡き者になり、今まで凌辱に苦しみ世界の端に追いやられてきた者が権力を担う。朝起きると首相が昨日までとまるで違う人になっている…なんて事もあった。我々時空警察は時代を行き来する事は出来ない。本来の仕事は時代の監視だ。なので当然、歴史の改竄に対する免疫がある。幾度となく改竄に立ち会ってきたのだ。我々が改竄の歴史に飲まれてしまったら誰が世界を救うというのだろうか?
「アリエル。遂にこの時がやって来たよ。」
事もあろうかBLUE CATが移動したのは、
我々の住む2200年この時代だった。
「司令官……場所の特定は可能ですか?」
「あー。おいっ座標の正確な位置を衛星写真で示してくれ。アリエル心の準備はいいか?
BLUE CATを確保しにいくぞ。」
「はい。」
。。。。。
「アリエルさん。BLUE CATの周波数がでいる場所を転送します『ex2265Tokyo city park』」
「了解。」
司令官と私はTokyo city partというありふれた公園に向かった。正体不明のBLUE CAT。
わかっている情報は青い猫型Androidという事だけ、誰も正確なフォルムなどとらえていなかった。
「この少ない情報でどうやって確保するというのですか?!」
「アリエル。よく考えてみろ。青い機体の、Androidなんてこの世界で見た事があるか?
しかも猫型の。つまりほら、見てみろよ。
あいつがBLUE CATで間違えないだろう。」
と司令官が指差す方をみると。確かに今まで見た事もない青い猫型のAndroid?が何事もないかの様に公園内を歩いていた。
「おいお前。BLUE CATだな?」
と司令官が声をかけると抵抗する様子もなく、
「うん。もしかして…時空警察かい?」
と言った。
「僕は抵抗する気はないよ。捕えるなら捕えたらいい。しかし時空警察とは名ばかりで、
時代の行き来がらできないんだね。タイムマシーンも持っていないみたいだし。」
バカにされてる気がしてつい語気を荒げて、
「ふざけるな。タイムマシーンなんて時間という概念を壊す物は、百害あって一理なしだ。歴史の改竄は大罪だぞ!!」
と言い放った。けれどもBLUE CATは悪びれもなく正論を話すかの様に言い返した。
「そうだね。でも僕が悪いのかい?僕は人間によって作り出されて、飼い主の元に届けられ、主人の求めるままに手を貸しただけだよ。」
「主人だと?お前を操る黒幕がいるという事か?いったい誰なんだ?それを話せばあるいは、お前の罪は軽減されるかもしれないし、タイムマシーンだってこちらに提供すれば、破壊する必要もなくなる。」
本当に毒でも吐く様に奴は言った。
「ケッ!!お生憎様だね、僕は猫にしては飼い主に忠実なんだよ。タイムマシーンなんてくれやるよ。でもね、まだ少しだけやり残した事があるんだ。これでもね頭脳は優秀なAndroidなんだよ。
一度inputされた事は書き換えられない限りは変更しない。有言実行。約束した事は守らなければね。」
そう言って自身の持つポケットの様な袋の中に入り込んで姿を消した。
「くっそー待て!!」
慌てふためいた私はBLUE CATを追って、
得体の知れない袋に潜り込んだ。
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