第17話 母親久美子殺害?
ある日、金満正最高指導者は、御付きの者5人と猪や鹿狩りに出掛けた。そこで銃撃されて、ある家庭の53歳主婦のユナと言う女性に助けられた。
その家庭は、一般家庭の父親の金高日総合大学教授リ・ジホ55歳と母親の専業主婦リ・ユナ53歳、それに娘リ・ジウ24歳の3人家族。
傷も相当深かったので、治療がてらこの家でしばらく生活する事になった。傷の手当は、もっぱら24歳のジウの役目。
いつしか満正は、優しく美しい金高日総合大学の研究員ジウを、女性として意識し始め、そして……窮地に陥った自分を親身に介抱し助けてくれた、知的で美しいジウに夢中になって行った。
満正は母親久美子に「結婚する。もう子供もお腹にいる。この国の王たる者が、デキちゃった婚では見苦しい。バレない為にもすぐ結婚する!」と電話を入れた。
「エエエエエエ————ッ!何を言っているの。この本丸ではあなたが行方不明になって、大騒動になって居るのよ。心配かけて——ッ!取り敢えず気を付けて帰っていらっしゃい」
まぁそれにしても……一大事にならなくて何よりだ。一体この行方不明騒動は何だったのだろうか?
実は、この事故?事件?は、ある者の企てによるものなのだ。
最高指導者満生の好みの女性を調べ上げて、偶然を装いジウの母で53歳主婦のユナと言う女性に助けさせた。
それでも…例え一般家庭と言っても、あのプライドの高い久美子のお眼鏡にかなわなくては結婚は成立しない。その為家柄も申し分のない美しい娘リ・ジウ24歳に、白羽の矢が立った。
要は満生の妻をセッティングした形になった。
そんな事など知る由もない満正は、ジウ家族を第二の故郷、第二の家族と思って疑う余地などなかった。銃撃され瀕死の状態の満正を助けてくれた命の恩人に、只々感謝しかない。
こうして…結婚式も滞りなく済み、いっときの平穏が訪れている。そして…満正に世継ぎの正優も誕生して、益々盤石な態勢になった満正政権。
母親の久美子は、星日亡き後は一人で住むには広すぎるあの本丸御殿を出て、この広い敷地内の別邸に、今はあの護衛で朝鮮民主主義人民共和国国防委員会委員長木村の他、ごく身近な側近達と住んでいる。
それでも…木村はハユン妃の情夫だったのに何故久美子邸にいるのか?
実は…S島に島流しに遭っていた木村の元に向かったハユン妃は、夫星日とは只々表面を繕うだけの仮面夫婦。嫉妬に狂い泣き疲れ眠りにつくそんな日々の繰り返しだったハユン妃は、夫に見向きもされない現状化、誰も居ないこの離れ小島で誰はばかる事も無く木村を意のままに性欲の道具にしていた。
一番脂の乗り切った40代中盤に差し掛かろうとするハユン妃は、本丸御殿では至る所に防犯カメラが設置してあり、美味しい魅力的な軍人や使用人達も居たには居たが、とてもじゃないが手を出せる状態では無かった。
ましてや一国の女王様たるものが不謹慎な。そんな中星日に完全に捨て置かれ生きた人形同然の日々を余儀なくされていた。
そのくせ夫星日は若い愛人とご乱心。こんな魅力も失せたハユン妃の行動に興味が有ろう筈もなく、完全に捨て置かれている現状化。思う存分この誰も居ないS島で情事にふけっている。
「プチュ💋※。.:*:・'°☆アアアアアア💘👄😍💕」
その様子を見ている者が居た。それは女中のソウだった。
◆▽◆
星日にすれば、嫉妬に狂い久美子を毒殺しようと企てたのはハユン妃ではないのか?そんな物騒な噂を耳にしていた。
あの夜、お毒味役の家事全般をこなす女中は3日3晩生死の境を彷徨った。食事担当のイソがウドと間違えて(ミズゼリ)を、食卓に出したせいだという話になって居るが、実は…ハユン妃が支持を出したともっぱらの噂。
はっきりした事は分からいないが、どっちにしてもイソは制裁を受ける事になる。
それでも…久美子が付いているので、調査の結果次第では救われた命。その後イソが水死体で見つかっていた。
「久美子邸の女中イソが海から水死体で見付かった一件が、どうもハユン妃の仕業らしい?」そんな噂を耳にしていた星日は、ハユン妃を追放したいと強く願っている。
この国の次期最高指導者満生の母にして、愛する久美子の命が危険にさらされている現状化、何とかあの嫉妬深いハユン妃を廃妃にしたいと考えている星日。
そんな時にS島に渡り、待てど暮らせど帰って来ないハユン妃。こうして…女中ソウの通報によって、辺境の地に追いやられ不遇な時代を送る事になった。
だが…あんな誰も寄せ付けない寂しい離れ小島に、男と女を解き放ったら、いつ怪しい関係になっても可笑しくないと分っていながら、敢えてハユン妃をあの島に使わせている。
星日もハユン妃がS島に渡ってしまったら。木村と間違いを犯しても致し方ないと分った上で用事を頼んでいた。
星日にすればこれ以上久美子に危険が及んでは大変なので、廃妃にできるだけの材料を探していた。そして…S島の女中ソウに監視させた。
ソウの通報に寄りハユン妃は辺境の地に追いやられた。
◆▽◆
豪華な本丸御殿には、満正と妻ジウ更には生まれたばかりの正優3人と、侍従達に護衛の数は相当なもので数百人にも及ぶ。易々とは侵入できない。それだけ盤石な厳戒態勢が引かれている。
「満正、最近は同じ敷地内に住んでいながら、とんとご無沙汰ですね~?でも嫁のジウはよく正優を見せに顔を出してくれていますよ。本当に良い嫁で私は幸せ者。お前もチョクチョク顔を出しておくれ」
「お母上様すみません。忙しくて中々顔を出す事が出来なくて」
そんな折、久美子が寝込みを襲われ帰らぬ人に……。
あれだけ厳重な厳戒態勢が敷かれていたにも拘らず一体誰が……?
だが…ハッキリ断定されたわけではない。それは死体に不審な点が多々あるからなのだ。
本当に久美子は殺害されたのか……?
満正は愛する母親久美子を殺害した犯人を、到底許す事が出来ない。秘密裏に徹底的に調べを進めている。
犯人はやはりハユン妃一派の仕業なのか?
ハユン妃にしても幾ら王子を産めなかったからと言って、たかが側室如きにに大きな顔をされるなど以ての外。
ましてや久美子のせいで、辺境の地に追いやられ不遇な時代を送っていたのだ。
木村とはプッツリ連絡も途絶えて、側室ごときの久美子に木村を奪われ、人生の一番輝いている時代を棒に振った苦い過去がある。
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