第3話 親のせいで......

早速言い合いになってしまって俺は一際目立つ存在になってしまったわけだが......物好きな人もいるもんで──


「凄いねぇ、あの神楽坂かぐらざかさんと言い合うなんて君、名前は?」

真河咲まがさきだ」

「真河咲ね、ちなみに俺の名前はやなぎけんだ、よろしく!」


そういえばなんで柳は俺に近づいて来たんだ、神楽坂にあれこれ言ったせいで悪い噂がまだ漂ってるのに......変なやつ。


「よろしく、とりあえず今日はもう帰るわ」

「じゃあ一緒に帰ろうぜ!」

「まぁいいけど」

「ごめんな女子じゃなくて」

「柳が女子になったら絶対笑う自信あるわ」


そんな何気ない話をしながら階段を下り、昇降口へ向かっていると窓の外から声が聞こえてきた。


「おい、あれ見ろよ」

「ん?」


窓から見えるのは女が一人に男一人、向かい合っていて男の方は少し照れくさそうにしていた。


「あれ、女子の方どっかで──」


そう俺が言った時、男の方が喋りだした。


「あなたのことが好きです、俺と付き合ってくれませんか?」



「告白だ、男子の方は......ありゃー三年の先輩だな、さて相手の女子はっと」


「えまって、俺の隣の席の人なんだけど」

「じゃあ一年生!? 入学式そうそうかよ」


そう柳が言った瞬間女の方が言葉を発した。


「ごめんなさい」


それは悲しくも断りの言葉だった。


「あっ......」

「先輩、ドンマイです」


「......帰るか」

「......そうだな」


そうして俺たちは帰路についた。どうやら帰る方向も同じらしく、簡単な質問をしては柳が答え、質問をされては俺が答えを繰り返し、お互いのことを知っていった。


「真河咲って家どこ?」

「あれ」


そう言って俺は目の前の二つの意味で高いマンションを指差した。


「え、ここ!?」

「うん」


柳は驚いた様子で口を開いた。


「ここ......俺も住んでるマンションなんだけど」

「マジか」


「お前の親お金もってんなー」

「柳も同じだろ」

「まあ確かに」


そんな会話をしながら俺たちはマンションの中に入っていく。


「真河咲って何階?」

「三十階だけど」

「同じかよ」


二人は驚きつつもエレベーターに乗り、三十階についた。


「待て真河咲、なんでこっちに来る」

「いやこっちだから」

「まさか角部屋か?」

「そうだけど、なんで知ってんの」


おいおいマジかこいつ、某有名食品会社の御曹司おんぞうしかよ。


「ここら辺じゃ有名だろ、知らなかったのか?」


全然知らなかった、義理の母が社長なのは見てれば分かるけど何やってるとか教えてくれないし。

てか、まず喋らないから何も分からないんだよな。


「全然知らなかった、そんな有名なんだな」

「そういえば真河咲って名前どっかで聞いた事あると思ってたんだよなー、真河咲まがさき美月みずきってお前のお母さんだろ?」


「あー......うんそう」


そういえば誰かが美月様とか言ってたな。


「まさかだったわ、それじゃまた明日な」

「ああ」


また明日? あっ......学校か、てかお隣さんかよ。


そう思いつつも真河咲はドアノブに手をかけて部屋の中へと入った。


「おかえりなさい」

「ただいまきさきさん」


そうだ、茶髪が注意された件あの無愛想な親に一応言っとくか。


「妃さん、お母さんは居る?」

「美月様は今、会社にいらっしゃいます」


「そうですか、なら先にお風呂に入ってきますね」


「了解しました、着替えは置いておきますので」

「ありがとう、それじゃあ俺は部屋にカバン置いてきます」


部屋に入ってお風呂を沸かしながらゆっくりしているとインターホンが鳴った。


「誰だ?」


そう思い俺は部屋から出て玄関の見える位置に立った。


「どちら様でしょうか」


「あっすみません隣に住んでる柳です、そちらに真河咲っていう男子高校生が居ると思うんですけど......その友達です」


「了解です、呼んできますね」


そう言って妃さんは俺の元へ来た。


「柳さんって子が友達として来ましたよ、本当ですか?」


本当に柳か確認するため俺はインターホンの画面を見た。


「誰だ、こいつ」

「お知り合いでは?」

「全然知らない人です」

「じゃあ帰っていただきますか」


そう言って妃さんはインターホンに向かって話し出した。


「真河咲は知らない人と仰っていますのでお引き取りください、それでは」

「えっ!? ちょ──」


あ、インターホン切った。


「お風呂が沸きました」


このタイミングで?


「お風呂、湧きましたよ」

「入ってきますね」

「はい」


なんか知らない人がインターホン鳴らしに来たけど特に気にせず俺は風呂に向かった。


顔が違うし身長も違う、なんだあいつ。




「はぁ、どうしよ。私じゃあいつ追い返せない」


まさか創一そういち様がストーカーされてるなんて。話し合いに持ち込めば時間稼ぎにもなるし、最終警察呼べる


「よし、行こか。そろそろ決着つけんとな」


そう息巻いて私は部屋のドアノブを捻った。


「えっ」


そこには予想の出来ない状況が繰り広げられていた。ドアを開けたその先にはインターホン越しに見えた男が倒れている姿と真河咲の義理の母、真河咲美月だった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

あとがきです。


どうもまどうふです。


さて、書いている途中に思ったのですが妃さんが難しい。結構人が変わるのでご注目ください。


同時連載中の【僕と看護師さんのゆるい入院生活】も是非見てみてください!



よければフォローと♡、★のほどよろしくお願いします!


以上、まどうふでした!

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ロンリー・キンドレッド 〜親に捨てられた俺は同じ境遇の子と出会い、愛を知る〜 まどうふ @Madoohu

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