第2話 結局金と権力か
1時間前に起きたとはいえまだ眠いなー。
俺は高校の廊下を歩き、自分のクラスが張り出されている紙を見ていた。
ここは
そして今日は秋桜高校の入学式だ。
俺のクラスは......一の二っと。この高校八クラスあるからもう......密集しすぎだろ! 覚えた人からさっさとどいていくか、複数枚貼った方が良かったんじゃないか?
「ふぅ...やっと出れた」
「うわぁ!」
密集から勢いよく出てしまったせいで誰かとぶつかってしまった
「すみません、大丈夫ですか?」
「はい......大丈夫です」
「ちょっとそこの君」
「えっ、あ俺ですか?」
いきなり先生に話しかけられるなんて、俺何かしたか? てかぶつかった子に申し訳ない......
「そう君だ。入学式早々に校則を破るとはどういうことだ?」
「っえ? 何の話ですか?」
「その髪だよ髪、染めてるだろ。思いっきり茶色じゃないか」
確かに俺の頭髪の色は思いっきり茶色だけどこれは地毛。拾った時も髪色は茶色だったと聞いている。
「これは地毛ですよ」
「でもハーフとかじゃないだろ? 顔も日本人だ」
「ハーフかどうかは自分でも分かんないですねー」
「分からないって......まあ今日はしょうがない。帰ったら髪色を黒に戻しに行ってこい」
「いやだから染めてないですって!」
「あのなぁ、親がハーフかどうかも分からない。君の顔を見ても日本人顔、目の色も黒。証明出来るものが何も無い。後日親御さんに確認とって地毛じゃなかったら減点だからな」
「......」
あの無愛想で口数の少ない親のことだ、適当に対応して終わりだろうな。......俺の事なんか興味無いみたいだし。
それで俺は減点と。
......自分で解決するしかないか。
「はぁ......じゃあクラスが張り出されてる紙の横で友達らしき人達と話している女子は良いんですか? 分かりますよね校則違反だって」
「まぁ......」
「一目見て分かるぐらいにしっかりとしたメイクにネイル。この学校は公立にしては珍しく髪型自由、授業中以外はスマホを触ってオッケー。そしてメイクはナチュラルメイクなら練習としてならいいんですよね」
「ああ......そうだな」
「でも見てください赤色リップにまつ毛バサバサ......あっ! 挙句の果てに眉までしっかり。好きな人にでも告白しに行くんですかね」
たとえそうだとしてもここ学校、しかも初日。
一生関わることの無い種類の人間だ。
「確かに君の言い分は分かる」
その後先生は声の音量を三分の一に減らし、誰にも聞こえないよう耳元で話してきた。
「あの女子生徒の名前は
「でもここって公立じゃ──」
「国の支援だけでは少し足りなかったそうだ。神楽坂様から支援いただいてからはプールが出来てトイレも教室も綺麗。それにタブレットを生徒に配布して五教科中三教科を効率的に勉強できるようになった」
功績やば。
「結局は金と権力ってことですか......」
「まぁ......そうだな...」
先生は言葉を捻り出したかのように言ってくれた。
「まあとにかく君は親御さんにこっちから電話させていただくから。あっ君、名前は?」
「
「真河咲くんね。じゃあ親御さんから何かあったらまた伝えるから」
「分かりました......それでは」
はぁ......終わった......減点だ......減点確定だ......
入学して早々最悪な気分のまま、俺は重い足取りで自分のクラスに向かった。
「ここか」
俺はゆっくりと教室ドアを開けると、そこにはもう何人かが席に座っていた。
俺の席はっと......一番左の一番後ろか。楽できそ。
そう思いながら移動し、席に着く。
あ、また人が入ってきたみたいだ。
その人が入ってきた瞬間空気が変わった。
教室に入ってきたのは三人。その内の一人に教室にいる全員が釘付けになった。
見た事のある顔、赤いリップにまつ毛がバサバサ......神楽坂柑奈か......
「っふ」
それにしても真ん中に神楽坂柑奈、その横に二人の取り巻きって──
「今笑ったの誰ですの」
やばっ声に出ちゃってたのか、無視しよう無視。
俺は顔を神楽坂柑奈から逸らした。
「あの方かと......」
「ありがと、さすがは
「ありがとうございます」
そう言い彼女は軽く頭を下げた。
「......」
神楽坂柑奈は教壇の方から後ろにあるホワイトボードへと無言で歩き始めた。
「あら、みんな黙り込んじゃって。私がそんなに怖いかしら」
神楽坂柑奈が挑発するように言ったあと、そこで一人の男が喋りだした。
「威圧感丸出しで誰が喋ろうと思うんですか、初対面ですよ。たまにいますよね高校生デビューする人」
「そんな浅はかな考えしか出来ない低脳たちは私に話しかけないでくださる? このスタンスは中学生の時から変えていませんのよ」
少し煽るような口調で言葉を返し、更に神楽坂柑奈は追い討ちをかけていく。
「それにあなた誰ですか、勝手に話しかけて来て急に私を
さすがの俺も怒りを隠しきれなくなってきたと言うよりも、誰でもここまで言われれば腹が立つし言い返したくなる。
「さすがに言い過ぎじゃないですか?」
「ご本人自ら話し出してくれますか......ありがとうございます」
「なんのことですか?」
「あなたですよね、笑った人」
「そうだな、不快に感じてしまったのならすまない」
「良いんですよ、私は優しいですか──」
「ただお前の発言はいただけないな」
「は? 私はただ事実を言っているだけです」
そんなに強く言わなくても......俺も少し強く言ってみるか。
真河咲はため息をついて話し出した。
「いきなり強気で来られて威圧され、低脳やら色々言われているんだが、蔑んでいるのはどっちなんだ?」
「蔑んでいるつもりはありませんわ、勘違いしないでください。さっきも言いましたが事実を述べているだけですので」
「世間を知らないお嬢様だと話にならんな。どうせこの学校に通えているのも親の権力や金なんだろ? 神楽坂柑奈さん」
「は? 私は普通に受験して入っているのだけど」
「どうだ? 見下されている気分は」
「こいつ──」
神楽坂柑奈は俺に拳を振るおうとしたその時、一人の声が上がった。
「何やってるの!? 早く座りなさい!」
「えっ」
「あら」
気づいた時にはもう遅い。クラスの雰囲気は最悪で、二人は自然と避けられるようになった。
いくらなんでも言い過ぎたか......最悪だ。
......神楽坂のやつと言い合いしてたから気づかなかったけど、隣の席の人に申し訳なかったな。
そう思い俺は隣の席の真面目そうな女子に話しかける。
「すいません、うるさくしてしまって」
「私は......君の言ってることは正しいと思うな」
「えっ? あぁ...ありがとうございます」
こうして俺はあることないこと噂され、悪い意味で一際目立つ存在となってしまった。
それより隣の席の女子、どこかで見たような......
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どうもまどうふです。
少し更新が遅れてしまいました。
どうやらお嬢様はあまり良く思っていないようです。
よければフォローと♡、★のほどよろしくお願いします!
以上、まどうふでした!
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