Sunset

@piteitou125

高校2年生の9月、片思いの彼と旅行に行った。旅行に誘ったのもの私からだった。私が誘っても彼は「やだよ」と最初は行く気のない返事だったが、私が駄々をこねた結果、しぶしぶだが一緒に行ってくれた。チャンスだ。私はこの旅行で告白する。

旅行先は京都。宿泊先は落ち着いた雰囲気の旅館。部屋は同じにした。彼は「なんで同じ部屋なんだよ。別々がよかった」と言っていたが、少しだけ笑っているような気がした。浴衣を着て町を回ったり、温泉に入ったり、美味しいご飯を食べたりした。私も楽しんでいたし、彼も楽しんでいた。誘って良かったと思った。でも、告白をする勇気がでなかった。結局、告白できずに宿を後にした。

ゆっくり電車に揺られる。私は悔しさを噛み締めていた。彼は私のほうを見ずに、流れてゆく風景を見ていた。彼がいきなり私のほうをむいて、「また行こうな。こんどは友達じゃなくて、恋人として。」急な彼からの告白。私は驚きと同時に嬉しさが込み上げてきた。すぐに彼は風景を見た。まるで私の返事がわかっているかのようだった。彼の目に私は映っていなさそうだ。

私は彼を見た。彼の目線には窓に反射した私が写っていた。彼も私も照れくさそうに笑った。外の景色と彼が夕日に染まっている。私の心も、夕日のようにオレンジに染った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

Sunset @piteitou125

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ