5#9



「だいたいさっくんにはママが居るんですから他のママなんて必要ありません!さっくんのママはママ1人だけなんです!さっくんはママだけじゃ満足できないっていうんですか!?欲張りさんです!そんな子に育てた覚えはありません!」


「そうだ!俺は欲張りだ!欲張りに、されたんだ!本当はこんなじゃなかった!今まで色んな事を我慢してきた!我慢できてた!でも聖歌ママも紫音ママも俺を甘やかしてくれる!甘やかしがすぎる!頼めばなんでもしてくれる!なにと我慢なんか必要なくて全部受け止めてくれる!我慢なんかする必要なんてなかった!だから俺はもっと!もっとって!もっと欲しくなった!もう我慢なんか出来ない!俺をこんな風にしたのは聖歌ママと紫音ママの2人だ!責任とれ!2人はこれからもずっと俺のママだ!」


「それなら、その責任はママ1人でとります!ママはこれからも、ずっと!ずぅーとっ!さっくんのママです!これからもいっぱい、いっぱい甘やかしてあげます!さっくんがしたいこと全部してあげます!だから紫音ママの事は諦めてください!紫音ママはママのママでさっくんのおばぁちゃんです!さっくんのママにはなれません!さっくんのおばぁちゃんです!」


「やーだー!紫音ママが紫音おばぁちゃんなんてヤダァ!紫音ママもママがいい!俺はママが好きなの!マザコンなの!おばぁちゃんっ子じゃないの!2人ともママがいいの!ママじゃなきゃダメなの!」


「我儘言っちゃダメですよ、さっくん!メッですよ!メッ!ほら、さっくん!紫音ママの事は紫音おばぁちゃんって呼ぶんです!ほら!おばぁちゃん大好き!って!」


「おばぁちゃんはやめなさい。それは普通に嫌です」


「そんな!?紫音ママはママのママでさっくんのママのママだからおばぁちゃんなのに紫音ママはおばぁちゃんが嫌ってことはママのママが嫌ってことですか!?そんな酷いです紫音ママ!紫音ママはママのママでいっぱい甘えていいってママに言ってくれたのに!ママの紫音ママはママのママだって!」


「ほら!聖歌ママ!紫音ママはママのママだけど、それは俺のママのママでおばぁちゃんではなくて、俺のママのママと俺のママだから紫音ママはおばぁちゃんじゃなくてママなんだ!聖歌ママはオレのママ、紫音ママも俺のママ!2人ともどっちの俺のママなんだ!だいたい聖歌ママはママで俺のママなんだからママにママは必要無い!聖歌ママこそ紫音ママをママのママにするのは諦めて俺のママとしてママしてくれればいいんだ!聖歌ママは俺のママなんだから!」


「そんなの暴論ですよさっくん!ママにだってママは必要なんです!ママがママだからってママが必要ないわけじゃないんです!ママはママとして居ることに幸せを感じますが、ママだってママに甘えたい時だってあるママです!ママのありのママのママをママとして甘やかしてくれる紫音ママはやっぱりママのママとして必要なんです!それにママは1人であるはずです!2人もママなんてさっくんズルいです!やっぱり紫音ママはママのママでさっくんのママはママでというかたちが1番自然です!」


「ママが2人居たっていいじゃないか!ママが1人なのはそれは普通の事かも知れないけど、普通である必要なんてない!俺は聖歌ママにも紫音ママにも俺のママで居て欲しいんだ!2人ともどっちも欲しいんだ!手離したくなんてないし!他の誰にも渡したりなんかしたくない!普通なんて知らない!常識なんて関係ない!俺は我儘で、欲張りで、最低のダメな奴かも知れない!だけど!聖歌ママも、紫音ママも、大好きで、心の底から、愛してるッ!絶対に2人とも幸せにしてみせる!だから!2人ともこれからも俺のママで居てくれ!」


「さっくん……!ママも……さっくんの事が大好きです!愛してます!これからもずっとママはさっくんのママです!」


「聖歌ママ……!」


「でもそれとこれとは話が別なので、紫音ママはママのママとして一緒に居てもらいますので、さっくんのママではないです」


「ヤダァッー!紫音ママも俺のママァ!」




話は変わらず平行線だった。




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