4#14



「あぁ、ママ、気がついちゃいましたァ。ママはさっくんのママなんじゃなくて、さっくんはママのさっくんなんです!」



ポンと手を付き、にっこりと微笑むママ。



「さっくんはぁ、ママのモノなんですからぁ。ママがさっくんにナニをしようとママの自由ですよ、ね?」



両手で掴まれた首。触れる指先に少しづつ、優しく、力が込められ、締めあげられていく。



「ほぉらっ、さっくん♡こうしてお首をきゅっきゅっ♡してあげると息ができなくなっちゃいますねっ♡」


「……ぐっ……ぐるじぃ……」


「くるしぃい?くるしーですか?♡もうっ、さっくんったら息もちゃんと出来ないんですね?♡息出来なかったら死んじゃいますよ♡おバカな子ですっ♡」


「あ”…………かハッ…………!」


「大丈夫ですよ♡ママがちゃーんと息の仕方を教えてあげますからね♡おバカなさっくんでもわかるように優しく丁寧に教えてあげますからね?♡」



首を締め上げる指の力が弱まり、僅かに呼吸が確保される。指は顎下をなぞりながら、頬へと向かう。


触れるか触れないか、眼前に笑顔が迫る。



「お口を大きくあーっして」



すぼめられた口で俺の顔を吸い取るように空気が呑まれる。



「スゥーってして」



大きく開いた口から吐き出された生暖かい風に顔面が覆われる。



「はぁー……ですっ♡」



絡まる呼吸は触れてないのに、まるで口付けを交わしているよだ。



「まぁ♡上手に息出来ましたね♡えらいですよさっくん♡それではもう1回♡」



頬を撫でていた指が下がる。その指はふたたび首へと絡まった。



「まずはスゥーですよ♡」


「スー…………う…………ッ!?」



空気を吸い込む途中。キュッと指先に力が込められた。息が詰まる。



「あらぁ♡さっくんたらっもうっ♡スゥーしっぱいしちゃいましたね?♡たったいま教えた事も出来ないなんてさっくんは困ったちゃんです♡まったくさっくんはダメダメさんですね♡」


「あ”ッ………………!」


「スゥーですよスゥー♡あれぇ?♡さっくんはこんな簡単な事もできないんですか?♡ダメですよー♡ちゃんと息できないと死んじゃうんですよ?♡いいんですかさっくん?♡このまま息しなかったらさっくん死んじゃいますよっ?♡」



絡む指先の力は緩んではいない。緩む気配などなかった。



「うふふっ♡さっくん死んじゃうっ♡さっくんが死んじゃう♡このままさっくん死んじゃう♡死んじゃう♡死んじゃう♡」



満面の笑みで笑っている。にこにこ、にこにこ、笑っている。幸せそうに笑っている。



「やっぱりそうです♡さっくんはママのモノなんです♡だってほらさっくん死んじゃいますから♡こんなかんたんに♡かんたんに♡さっくんはママがいなかったら息もできない、とってもおバカな子なんですから♡ママがいないと死んじゃいますから♡そうですよね♡」



…………意識が。



「とってもおバカで……かわいい……かわいい……さっくん……」



…………遠のいていく。



「さっくんの全部ママのモノです♡」






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