3#5



純粋な嫉妬から来る言動だとは思うが、最近ではオレが他の女の子と話すことはおろか、見ているだけでママはにこにこ(怒)するようになってしまった。


軽いヤキモチ程度であれば可愛げもあるのだが、ママの場合はにこにこしながら超重力プレッシャーを放ってくるので正直な話し、ちょっと怖い。


極力ママ以外の女の子とは接触しないようにと心がけてはいるが、やはりどうしようもないときはある。


深夜のママの練習は毎日必ずある。


最初の頃は催眠アプリでまったく何も覚えてなかったが、最近は俺氏の名演(笑)による催眠かかったフリでママとの練習の記憶は残っている。ママを騙しているようで悪いが、これはこれでちょっとゾクゾクするので止められなくなっていた。


ママの言葉に従い動くだけの傀儡と化している(様にしている)。



「……さっくん……もっとっ……もっとぉ……!こんなんじゃダメです満足できません……!もっと強くしてっ……んおっ……!」



ママがにこにこしたその日の晩は決まってこうなった。激しさを求められて、物を扱うように乱暴にすることを望まれた。


普段のママが主導権を握る練習とは違っていた。


それにどういった意図があるのだろうか。


その激しさに自分が求められている、必要な存在であるという実感を得たかったというところなのではないかと思う。


実際、俺にとってママもなくてはならない存在で、離れたくないし、離したくない。当然ながら俺以外の誰かの手に渡したくも、あろうはずが無い。


ママの言葉に従ってというのもあるが、それ以上に自分自身の気持ちとして、ママは俺だけのモノだと主張するように貪り喰らった。


そんな日を何度か繰り返していくうちに、俺の中で僅かに……だが、確実に暗い感情が塵の様に積もり始めた。



「ママぁ……今日はオレが練習したいなぁ……」



ママに催眠アプリを使った。


練習と称して物のように扱う。


湧き上がる欲望を丸ごと全部をぶち撒けた。


オレがナニをどうしようとも、ママは優しく笑顔で受け入れてくれる。


ママの全部がオレのモノで、どこもかしこもオレ専用のモノだ。


ナニをしてもいい。なんでもしてくれる。


こんなことヤメられ筈が無い。


毎夜、繰り返されていた練習は姿を変えていく。


ママの練習から、オレの練習へ。


練習とは名ばかりの、ただ俺が満足するだけの行為ヘ、と。


問題はあるか?俺はママの事を愛しているし、ママは俺の事を愛している。愛し合う2人の行き着いた先の結果だ。


俺はママを求めているし、ママも俺を求めているのだから、何の問題もアリはしない。




普通では無い。


ズレている。


しかし、それは初めからそうだった。


起因はママが「ママになります!」と言って始まった事であった。


そこからそもそも、この関係性はズレていた。


このズレた関係性の行き着く先は、果たしてどうなってしまうのであろうか。


その不安はあるし、それに金銭的な面での不安もある。


ずっとこのままでいたいが、そう長くも持たないだろう。


考えなければならない事はあるが、オレはそれを誤魔化すようにママとの練習に精を出した。


ただこの温かな感触に包まれて幸せでありたい。


ずっとこの幸せに溺れていたい。



オレの頭はパーになっていた。






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る