#20 皐月くんにママが出来る
おれはしょうきにもどった(げっそり)
俺はなんであんな事を……まるで催眠アプリで暗示にかかって理性のタガが外れたようだった。
……ん?
思い返してみる。確かスマホの催眠アプリが起動した画面を見て、独り言を呟いたような、呟いてないような……まさかアレで自分に催眠がかかったのか?
それとも昨日の聖歌ちゃんにかけられた暗示の効果がまだ残っていたのか?それも有り得そうだ。
今は聖水を飲んでクッキングされたことにより賢者にジョブチェンジしたので落ち着いている。というかげっそりだ。聖歌ちゃんから吸飲した魔力が根こそぎ搾り尽くされた。こうして魔力って循環してるんだね(?)
「にこにこ」
げっそりしてる俺とは裏腹に聖歌ちゃんは心做しかお肌つやつやで満足そうににっこにこしていた。
俺としてはあんなことやこんなことをシタあとなので、とても気まずい。
これからどうしたらいいんだろうか?やっぱり責任とった方がいいのだろうか?いや責任とれと言われたら、それはもう取らせていただきたいとは思うが。いやでもいろいろしたが最後の一線は越えてない。多分だけど。それなのに責任をとる云々はちょっとおこがましがったりする?
そこら辺、聖歌ちゃんはどう考えているのだろうか?俺と今後どうして行きたいのか?
賢者となった俺の心は恐ろしいほど落ち着いている。聖歌ちゃんも聖歌ちゃんでにこにこと落ち着いている様子。今ならば聖歌ちゃんとちゃんとお話が出来ると思う。
「聖歌ちゃん」
「なんですかさっくん?」
「その……聖歌ちゃんはこれからどうして行きたいのかと思って」
「と、言いますと?」
「だから、えっと、なんて言えばいいか……俺とどういう関係になりたいのかとか、付き合いたいとかなんかそんな感じの……」
いろんな段階をすっ飛ばしたり、明後日の方向に爆進したりしてるから、今更こんなことを聞くのはわりとどうかとは思うが、改めてそこら辺をハッキリさせたいと思った。
「聖歌ちゃんは、俺の事……好き、なんだろ?」
「はい!ママはさっくんが大好きですよ!」
「お、おう……」
屈託のない笑顔で宣言する聖歌ちゃんに思わずたじろいでしまう。俺なんかが……なんて思わなくもないが、そも好きでも無い相手にあんなことやこんなことをさせないし、しないだろう。
「さっくんはママの事、好きじゃないんですか?」
「俺は……」
どうなんだろう?俺は聖歌ちゃんの事をどう思っているのか?
ママっていうのは一先ず置いといて改めて考える。
可愛くて、優しくて、おっぱい大きくて、なんでもさせてくれて、なんでもしてくれて、甘やかしてくれて、俺の事が好き·····ーーってコレもう文句の付け所なくない?逆に聞くけどコレで好きにならん奴おる?他に好きな人が居たりしたらまた話は変わってくるとは思うが、生憎と俺には特に好きな子は居ない。
難点を上げるとするならば、それはまぁママがうんたらとか、催眠アプリにハマりかけている所は少し·····いやかなり問題はあるが·····。
そこら辺にしてもだ。それらの発端は結局のところ「俺のことが好きだったから」という所にある。
好きが故に暴走して爆走した結果だと思えば可愛げもある。なんだったらちょっと嬉しいまである。
そんな聖歌ちゃんを俺はどう思っているのか?
いや普通に好きだわ。
「あー·····俺も、その·····聖歌ちゃんのこと·····好きだ」
「ですよね!さっくんママのこと大好きですよね!」
「お、おう·····」
疑いもしてない感·····いやいいんだけど、なんか釈然としない。
ともあれ、両想いということでここはひとつ。
「これからヨロシクね。聖歌ちゃん」
お付き合いを始めたいとーー。
「はい!これからもさっくんのママとして、たくさん甘やかしてあげますね!」
「どうしてそうなった!?」
「何がですか?」
「だからそのママってなに?そもそもママってなんなの?なんで聖歌ちゃんがママなの?」
「ママはママです!ママはさっくんのママです!さっくんをいっぱいいっぱい甘やかしちゃうさっくん専用ママですよ!ママには遠慮なく甘えちゃっていいですよ!なんせママはママですからね!さっくんのお願いならなんでも叶えちゃうママです!」
「い、いや、ほら?俺たち同い年だし·····聖歌ちゃんが俺のママっておかしくない?」
「それはなんの問題もありませんよ!ママはさっくんよママであって、さっくんのお母さんではないので!ママはママ、お母さんはお母さんです!」
なるほど·····。
まったく意味が分からない。ママとは一体なんなんだろうか?
「ママなのでお母さんでは出来ないことも出来ちゃいます!ママとならちゃんと結婚も出来ますよ!」
「お、おう·····?」
なるほどーママとなら結婚も出来るのかー(?)
くっ·····やっぱり催眠アプリで頭がバグってやがります!
実質的に恋人みたいな感じでいいですか?聖歌ちゃんはママであることを譲る気は無いみたいだし、もう好きにさせてあげよう。そうしよう。
べ、別に俺がママを求めてるわけじゃ無いんだからね·····!
いやホントに·····。
··········。
多分·····。
というわけで聖歌ちゃんは俺のママになった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます