#11 仲良くなりたい聖女様



[使用例]


STEP2:自分にも催眠を掛けてみよう!


催眠アプリは他人呑みならず、自分自身にも催眠をかけることも可能です。まずは鏡を用意しましょう。アプリを起動後、画面を見てから鏡に映る自分に向けて語りかけることで自身に暗示をかけることが出来ます。これで「自分の気持ちに素直に行動する」など暗示をかけると、奥手な貴女でも心の内に眠る願望の赴くままに行動できる積極的な人間に生まれ変わることが出来ます。







!おはようございます!」


「し、白井さん……!?お、おはよう……?」


「そんな白井さんだなんて……私のことは聖歌でいいですよ!!」


「お、おう……?それじゃぁ……えっと……聖歌ちゃん?」


「はい!聖歌です!なんでしょうか!?」


「あっ、いや別に……俺は特に用は無いんだけど……」


「そうですか?あっ、そうだ!皐月くん!もしよろしかったら今日はお昼一緒に食べませんか?」


「昼を一緒に?なんでまた急に……」


「嫌でしょうか……?それとも何か用事とか、既に先約がありましたか?」


「あっ、いやっ!嫌じゃないし、特に約束とかもないから大丈夫だけど!なんでまた急に、と思って」


「そうですか!それなら約束です!わぁ、皐月くんと一緒にお昼寝楽しみです!」


「そ、そう……?」




皐月くんをお昼に誘うことが出来ました!


今までの私だったら、対面やアレコレと余計な事を気にして、考えて、こんな積極的に話しかけたりは出来なかったでしょう。


ですが、今の私は「自分のやりたいように行動する」ようにと自分自身に催眠アプリを使って暗示を掛けてきました。


だからこうして積極的な行動が出来るようになったのです。


なるほど。これが催眠アプリの力ですね!これはなかなかに良いモノでは無いでしょうか!




「皐月くん!お昼ですね!一緒に食べましょう!」


「お、おう……俺は学食なんだけど、白井さんは?」


「むぅ……」


「えっと……どうかした?」


「白井さんじゃないです!ちゃんと聖歌って呼んでください!」


「あ、ああ……そういえば、そうだったけ?ごめん、ごめん。えっと、聖歌ちゃん?」


「はいっ!それじゃ一緒にお昼ですね皐月くん!ちなみに私はお弁当です!学食で一緒に食べましょう!」


「わ、わかった」



皐月くんを連れ立って学食に向かいます。


2人で並んで歩いてるとザワりザワりと周囲がざわめきました。まぁ、あまり関係は無さそうですね!



「それじゃ俺、昼飯買ってくる」


「あっ!席取っておきますね!」



学食につきました。一旦別れて皐月くんはお昼を買いに向かい、私は席の確保をします。


皐月くんと2人で並んで座れそうな席を確保して陣取りました。



「あれ?白井さんじゃん!学食とか珍しい!」



ふと、皐月くんを待っていると爽やかな数人の男子の方……運動部の人達でしょうか?そんな人達から声をかけられました。



「もしかして白井さん1人?」


「おっ、それなら俺らと一緒に昼飯食べよーぜ!」


「あの聖女様と昼飯とかめっちゃラッキーじゃん!」



ガヤガヤと勝手に話を進める彼らは、気がつけば私を囲むようにして席についてしまいました。


なんなんでしょうこの人たち。邪魔ですね!



「ってか、やっぱ聖女様めっちゃ可愛いじゃんヤバァ!」


「だよなぁ!超美少女!」


「間近で見るとオーラが違うわ聖女様は!」



なにやら話しながら彼らは私の事をジロジロと見てきます。主に胸の所をよく見られているような気がしますね。



「つーか。なんでまた聖女様は学食で一人でいたの?」


「おまえ、そりゃ……俺らと昼一緒にしたくて待っててくれたんでしょ?」


「えー!それめっちゃ嬉しいじゃん!そんな聖女様に待ってて貰えるとか光栄だわー!ぎゃはははっ!」



待ってないんですが?


そもそも彼らは誰なんでしょうか?知らない人なんですが。


知らない人に構う必要はありませんね。


それより皐月くんはどちらでしょう?


あっ、昼飯の乗ったお盆を持って辺りをキョロキョロ見回してる皐月くんを発見しました!行かないと!



「それでは私は失礼しますね!」


「はっ……?」


「あ、あれぇ……聖女様……?」



困惑する彼らを放置して私はお弁当を手に立ち上がり、皐月くんの元へと向かいました。


皐月くんとおっ昼!おっ昼!



「皐月くんっ!」


「あっ、しらーーじゃなくて、聖歌ちゃん」


「すいません!席の確保に失敗してしまいました!」


「そうなの?なんかあった?」


「いえ?何もありませんでしたよ」


「そう……?」


「あっ、あっちの方が席空いてますよ!皐月くん行きましょう!」


「お、おう」



皐月と並んで座れそうな場所を見つけて、そこに並んで座ります。座る時にちょっと席を動かして皐月くんの席に近づけておきます。



「あ、あの……聖歌ちゃん……?」


「なんでしょう?」


「ちょーっと席が近いような……」


「そんなことないですよ?」


「っていうかこれもう密着してない?」


「そんなことはありますね。嫌ですか……?」


「い、嫌じゃないけど……食べづらくない?」


「そんなことはないです!大丈夫です!なんとか食べられますので!」


「なんとかって……それ大丈夫じゃない気が……」


「大丈夫ですっ!」


「はぁ……まぁ、いいか……」



皐月くんは何かを諦めたようにため息をひとつ吐きました。


うーん……ちょっと元気が無いですね。何かあったんでしょうか?心配です……。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る