#3 見られたい聖女様



白井しらい聖歌せいかです。



私には好きな人がいます。


同じクラスの久保くぼ皐月さつきくんという方です。


ある日の放課後、私は人相の悪い人達に絡まれて連れて行かれそうなった事がありまして……。


そこを助けてくれたのが彼でした。


まるでおとぎ話の王子様のように颯爽と私を助けてくれた彼にトキメキ、恋に堕ちた……ーーというわけではありませんでしたが、その時から私は彼を意識するようになったのです。


彼は一体どんな人なのかな?って気がつけば目で追っていて、私を助けてくれた事からも分かるように彼はいい人です。


優しくて、人から何か頼まれたら嫌な顔ひとつせずにその頼みを聞いていたり、みんなが避けるような面倒な事でも自分から率先してやっていたりと。


彼はそこまで目立つような人ではありませんでしたが、そんな彼の姿はとても素敵で、そしてカッコイイなと私は思いました。


隙があれば彼のことを遠目に眺めていて、気がつけば彼のことばかりを考えている私がいました。


同じクラスではありましたが、彼と接する機会はそこまで多くありません。ふとした時に少し言葉を交わすだけの、そんな普通のクラスメイト。



「白井さん」



なんてことない日常の1ページ。彼がたまたま私に用事があって、それで名前を呼ばれただけ。


それで私の心臓が大きく高鳴ったのを覚えています。



「あっ、は、はい……!な、なんでしょうか、久保くんっ……!?」


「……?先生が白井さんに用事あるって呼んでたよ?」


「そ、そうですか……!わざわざありがとうございますっ!」



妙に顔が熱くて、何故か彼の顔がまともに見れません。ただ、ちょっと話しかけられただけなのに。


高鳴る胸を誤魔化すようにその場から離れても、私の頭の中は彼の事ばかりを考えていました。


私はどうしてしまったのでしょうか?


生まれて初めての感覚。


私がそれが”恋”だと自覚出来たのは、それから少し時間が経ってからでした。



私は久保皐月くんの事が好き。



しかし、それを自覚出来ても、私にはそこから先、どうしたらいいか分かりませんでした。


男の人を好きになるのは初めてでした。所謂、初恋ですね。ですから当然、男の人と付き合った経験もありません。


恥ずかしながら男の人から告白されることは何度となくありましたが、自分から愛の告白した事はありません。


どうしたらいいのでしょうか?とりあえず告白をすればいいのでしょうか?でも告白はどうやればいいのでしょうか?


それにもし告白して彼に受け入れて貰えなかったら時はどうしましょうか?


私は彼のことを好きですが、彼が誰を好きか、そもそも好きな人は居るのか、わかりません。


彼に拒絶されることを考えると胸が張り裂けそうな気持ちになりました。彼にフラれる事を想像すると泣きたくなりました。実際、ちょっと涙が出ました。


そう悪い方向に想像をすると、とてもじゃ無いですが彼に告白なんて出来るわけがありません。


悶々とした日々を送ります。遠目に彼を眺めて、寝ても醒めても彼のことばかりを考えて、彼と一緒に過ごすことを妄想して、実際にそれが出来ない歯痒さを噛み締めて、彼を想う気持ちを日に日に募らせていく……。


そんなある日のことです。


私のスマートフォンに見覚えのないアプリが勝手にインストールされていました。




それが『催眠アプリ』です。




◇◇◇




前をはだけて羽織っていた白いニットカーディガンを脱ぎました。


胸元で結ばれていた蝶結びのリボンは皐月くんに胸を揉まれていたせいで解けかけています。それを完全に解いて、しゅるりと外します。


胸の部分にシワのついたスクールシャツのボタンを下から順にひとつひとつ外していきます。



それを皐月くんはガッツリ見てました。



一切、目を逸らさず、一瞬でも見逃さないとばかりに、瞬きひとつせずに、それはもう食い入るように見てました。



あうっ……さ、流石に恥ずかしいですね……。



で、ですが……!私はさっくんのママですから!さっくんの為ならこれぐらいで恥ずかしがってちゃいけませんよね!大丈夫です!



下から登っていって上の方のボタンを外す度に、その中に押し込められていた私の胸が、ぷるんっと震えて露出していきます。



「…………(ごくりっ!)」



皐月くんが息を飲んだような気がしました。変わらず皐月くんは私の胸を凝視しています。


全てのボタンを外し終えると主張の強すぎる私の胸に乗る様にかかっていたスクールシャツが重力に従ってスルリとズレます。


皐月くんの眼前に顕になってしまった淡い黄色のフリル付きの下着に包まれた私の胸。



「すごっ……!」



皐月くんが小さく呟きました。



「ーーって!「すごっ……!」じゃなくてッッッ!!!」



そして唐突に叫びながら顔を逸らして目を手で覆いました。



「まずいって!これは流石にまずいって!だ、ダメだってこんなのッ……!」


「ママのおっぱいはお気に召しませんでしたか?」


「いや!めっちゃ素敵っ!ママのおっぱい最高っ!」


「それはよかったです!ほら、さっくん!ママのおっぱい見たいんですよね?好きなだけ見ていいんですよ?」


「わーい!みるー!」



それから暫く皐月くんは口を半開きにした惚けた表情で私の胸を見ていました。


そうやって見られるのは恥ずかしいかったんですが、皐月くんに見られていると思うと……興奮してきますね……。









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