Klasse9 急襲

——深夜3時

——ヴーヴー!

「どぉうわぁ! うるせぇ! なんだってんだ?」

『緊急事態発生! 学園敷地内に狂人が多数!』

 おいマジかよ。昨日からやけに多いな。みんな飛び起きて準備してら。しっかし一般連中は連戦、体力がもたねえだろう。一年生はとりあえず後方から援護、上級生と単独許可者は前に出ろ、とさ。イヤだねぇ。


「よっ、神凪」

「黒崎か。昨日はお手柄であったらしいな」

「まぁな。それよりよぉ、多くねえか? 狂人」

「思うところではあるな。しかし倒さなくてはならぬというのが目下」

「だよなぁ。終わったら一杯やろうぜ。いいモンあるんだ」

「楽しみであるな! では……」

「いくぜ!」

 雑魚狩りかぁ。金にもなんにもならんし退屈だぜ。


——


「しっかし異常だな〜。ワラワラ湧いてきやがる」

『ボクの方でも解析してるんだけどコレといって変化ないんだよね』

 カイトの解析力で何も分からんってこと自体が異常。オペレーターにも手伝ってもらってるみたいだがそれで分からないとなるとなかなか手詰まりだ。おそらく学園側の観測班と解析班はてんやわんやだろうな。

「ふーむ、誰かが糸引いてるにしちゃやり方がちまちましてんな。こんな雑魚用意したって学園は崩せな……あ?」

 こいつはヤバいかもしれん。学園に雑魚を集中させて混乱、ということは……

『市街地AからGの全エリアに大狂人の反応あり! ケイト、これヤバいよ!』

「やっぱりかぁ。カイト、その情報、学園側に流してやれ。私ゃデカブツ狩りにいくぜ」

 でっかいのなら撮れ高がある。カッコよく決めてみるか。持ち場に足止めトラップ設置してから市街地へ急行。

「おーいるいる。デカイのが! ヒャッホー!」

 アンカードローンで飛び回り次々薙ぎ倒していく。首を落とせば沈黙するからやりやすい。しかし数が数だ。こんなに大狂人が出るとはな。作為的な何かがあるに違いないだろう。カイト曰く、超に匹敵する反応もあるらしい。

『黒崎! 私だ、神凪だ。とんでもないことになったな』

「お、そっちに連絡行ったか」

『私もGエリアに向かっている。そちらは?』

「似たようなモンさ。Dエリアにいるぜ」

 神凪らもデカい反応に向けて進み始めた。あいつらがいるなら時間の問題だろう。お気楽にいきますかね。


——


「ふぅ……大体片付いたが……」

『妙だよ。これだけじゃないはず……』

 おかしい。いや、倒せてるからいいんだが肌がピリつきやがる。なにかが……

——ドオオオオン!!

「のわっ!? Gエリアの方からか?」

『Gエリアに突然極狂人の反応!』

「へぇ、ちったあ楽しませてくれるか?」

 極っていや超の二段上。早速向かうぜ!

……と?

『く、黒崎……逃げ……!』

「ああ? 神凪、どうした?」

『……』

「おい!? 神凪!?」

『神凪さんのバイタル、異常に低下! マズいよ!』

 神凪に何があった? とにかく今は神凪の反応地点まで行くか。


——


「お、おい、こりゃあ……」

「ば、馬鹿者……逃げろ、と……」

「喋るんじゃねぇ。死んじまうぞ」

——ガサゴソ

「があっ……!」

 崩れかけたビルの中にいたのは満身創痍の神凪。それに一条までボロボロだ。んで、ビルからわずかに見えてるのが……

「あんなデカブツ、どうやって相手にしろっていうのよ……っ!」

「でもやらなきゃ全員お陀仏だな。よっ、と」

「ぐうっ……!」

「二人とも応急処置はしたがな。早く医療班のとこ行かねーと死ぬぞ?」

「ハッ、もう指一本も……ここも……奴にバレれば……」

「救援も呼べないわ。黒崎さん、貴女だけでも……」

「んー、折角私が助けたんだ。死なれたら損だし、神凪にはまだ神凪流教えてもらってないし、一条に至ってはポーカーで勝ててないからな。お前らはとりあえず生きて学園まで届ける。黙って私に運ばれときな」

 ビルの前に装甲車があった。乗っけて送りますか。ルートは……カイトのオペレートでなんとかなるだろ。一条はギリギリ歩けるだけマシだな。神凪はお姫様抱っこしてやらねぇと。

 ちょっくらご馳走は後回しだ。


——


「いやー、改めて見てもデカいことデカいこと」

 神凪と一条を医療班まで運んだところでUターン。鉄塔の上から観察するがマジでばかでかい。

「こいつのコアで組織は満足するかね?」

『多分ね。どうするの?』

「やるさぁ。そろそろパーっとやりたかったしな」

 デカブツの足元までひとっ飛び。まずは足を崩して……

「ぬぉっ、反撃早いな」

 振り下ろしてくる拳を回避。おー、地面が抉れてら。良い威力だ。

「ぬんっ!」

——ズバァアン!

 スキがデカいんだよ。まずは右腕を切り落とす。お、暴れ出しやがった。

「カイト、弱点、分かるか?」

『えーっと……左胸上部だね。コアは反対側にあるから遠慮なく!」

「よっしゃ!」

 二刀を構え、地を蹴って弱点に切り掛かる。

——ガキンッ!

 ぬ、弾かれた。どうやら特殊な硬化してやがる。どっかを破壊しないと割れないパターンか。と、みれば奴の体に光っている部分がある。多分アレだ。

「よっ、ほっ」

——バキンッ、バキンッ

 よしよし、効いてる効いてる。このまま押していくぅ!


——10分後

「ははぁん……硬化が解けたな?」

 弱点を見るとわずかにだが亀裂。次で決めるぜ。

——バシュッ!

「はあああっ!」

 弱点に向けて乱れ斬り。肉を削いで……出た!

「やっ!」

——ズアアアッ!

 心臓部を引き出して……

「はっ!」

——グチャァ!

 握り潰す!


「ふー、終わったな」

 コアを剥ぎ取り、煙草で一服。そこまで楽しくはなかったかねぇ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る