Klasse8 事実

「黒崎さん……貴女本当にとんでもないわね」

「そんなに凄いのか? コレ?」

 理事長、その他お偉いさんが集まって会議室でモニターを見ている。その先には私が捕獲したあの狂人がいた。

「この狂人は『デスサイス』と呼ばれる第二種接触禁忌狂人なのだよ……出会ってしまえば生還すら厳しいというのにまさか生捕とは……」

 驚き混じりに局長……つまりこの学園やらなんやらを仕切るお偉いさんが言う。

「ふーん。まぁ何でもいいけどよ。報酬はどうなんだ?」

「……いかんせんそれを決めかねているんだ。学園通貨に関してはブラックカードにしておく。なんでも好きにすればいい。ただそれでは全く足りないんだ」

「じゃあまぁ、なんでも券ってことで。後でな」

「……黒崎京。君は何者なんだ?」

「さぁ、な。局長さんなら目星はついてるんじゃねぇの? 聞きたけりゃサシで呼び出しな」

 はーあ、硬っ苦しい会議室は嫌いだぜ。学園戻ってパーっとやろうか。


——


「んで? 局長さんは私を呼び出して何を聞きたい?」

 夕と夜の狭間、私は何重にもセキュリティが施された通路の先の小さな部屋に呼び出されていた。

「……君は、いや貴女はあの組織『■■■』のKか?」

「ほぉ、流石局長さん、知ってんねぇ。そうだぜ。私があのKさ」

「あっさりと答えるんだな……秘匿するかと思っていたが」

「あぁん? 組織名知ってる時点で隠す必要もないさ。あそこがどれだけヤバいか知ってんだ。そんなかでKっていう単語が出るだけで、な」

 局長は冷や汗をかいている。予想が確信に変わったということだ。

「組織の目的はなんなんだ……? 我々より遥かに情報など持っているはずだが……」

「ああ、狂人に関するデータとコアが欲しいのさ。まぁ私らの組織のこと知ってて拒否なんて出来ねぇだろうけど暫くは学園生しててやるよ。それの流れでコアとデータくれたら手間が省けて楽だからな」

「なぜ、学園生を続ける? 今ここで要求すればすぐにでも……」

「ま、気まぐれさ。この事実を知るのはあんたらお偉いさんだけでいい。もういいか?」

「あ、ああ……」

「そんじゃあな」


 寮に戻るかぁ。風呂も入りたいし。


——


「ああ〜、いい湯だぁ〜」

 ふむふむ、やっぱりここの風呂はいい。デカいしジャグジーだしなんたって香りがいいねぇ。周りもキレイどころばっかりだから景色もいい。私ゃ女に興味はねぇが野郎ばっかよりはマシさ。もちろんカイトみたいなかわいい男の子なら大歓迎だぜ。

「ねえねえ、京さん。すごく良く食べるのにどうしてそんなにスレンダーなの?」

「んあ? なにも特別じゃないさ。食ったらその分以上に動く。んで寝る。そんだけさ」

「すごいね……」

 きゃいきゃいと女子のトークに巻き込まれる。悪かねぇけどよ。

「お肌もすべすべよね〜。スキンケアは?」

「しとらんよ」

「それでこんなに!?」

「髪もサラッサラ。ヘアケアもしてないの?」

「おう。風呂から上がったらタオルで拭いてドライヤーするだけだ。シャンプーとリンスはこだわるけど」

「羨ましいなぁ。私なんか癖毛が酷くて」

「メイクもしてないんでしょ?」

「ああ。なんか塗るのはイヤなんでな」

 まぁ、たまにゃこんな風呂も、な。

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