Klasse3 剣士

「三人とも。元気かー?」

「おかげさまで何とか」

「私、元気」

「一時はどうなる事かと思いましたぁ」

 学園の食堂で飯食いながら話す。ちょっと疲れた程度ですんだ様だ。

「よく食べるね、京さん」

「んあ? まあな」

 他の奴らと比べて私は遥かに量を食べてる。トレーに山盛りの飯のせてるからな。カレーにラーメン、カツ丼とか色々。娯楽が無えからなぁ。

「あー、ビール飲みてぇ」

「? ビール、買える」

「自販機にありますよぉ?」

「なんだって!?」

 聞けばここは死と隣り合わせな学校。特例で酒やタバコが許されているらしい。早速自販機で……

——ピッ、ガコン

「おおー、いいねぇ。どれどれ?」

 缶を開けて一気にいく。美味いぜ! 蘇るわぁ。

「あ、あはは……よく飲むんだね……」

「なんの、まだまださ」

「次、授業、程々に?」

「わかってらぁ。おっ、そうだ。桐生よ、これやるわ」

——ポイッ

「わわっ。これは……ライター?」

「私ゃ単独許可が出たんでな。ソロでやるつもりだ。なんかあったらそれに火をつけな。向かってやるよ」

「ひゃえっ! 単独ですかぁ!?」

「単独、凄い……」

「ま、そういうこった。また教室でなー」

 ロング缶片手に屋上へ。天気がいいからな。外で飲みてぇのさ。


——


「ふー、風が気持ちいいねぇ」

 ベンチに座って一休み。全くビールが美味いぜ。

……と、何やら奥の方で音がする。刀の素振りの様な? 行ってみるか。

「はっ、はっ」

 ほう、長身の女か。制服を見るに三年生だな。どれ、ちょいと驚かしてやろう。気配を消して……

——トントン

「! 何奴!」

——ズバッ!

「うわっと、危ねぇ! いきなり斬りつける奴があるかぁ? あーあビールが溢れちまって……」

「む、一年生か。見事な隠密に身のこなし……まさか黒崎か?」

 おっ、この生徒は私の事知ってるらしい。多少目立っちまったか。

「そうさ、私が黒崎。あんたは?」

「私は『神凪かんなぎ 恭花きょうか』修行中の身だ」

「ん? 神凪って言うとあの神凪流のか?」

「いかにも。黒崎も剣の道の者か?」

「まぁ剣は使わんでもないが……多少神凪流をかじった事はある」

「なんと! あまり表立たぬ神凪流に触れたとは。一合でいい。手合わせ願えぬか?」

「いいぜ。刀貸してくれ」

 ふむ、神凪流。本家本元に出会えるとは思わなんだ。ルナへの土産になるだろう。

「では、参る!」

 サッと距離を詰めてくる。なるほど、使い手だな。この構えからくるのは……

「『紫電』!」

 中段から放たれる鋭い突き。ほほう。まずは避けるか。ヒラリと身体を捻って刀の軌道から離れる。さあ、どう来る?

「『紫電・なぎ』!」

「おおっ、と!」

 避けの出だしを読んで薙ぎ払いを入れてきたか。刀で受けて……

「『流水』」

 受けた刀をそのまま受け流す技。神凪流では基本の技だ。これくらいは使える。

——キィン……

「……お見事。一点の曇りもない完璧な流水……かじっただけとは思えぬ」

「あんたの紫電も冴えてたぜ」

「黒崎とはいい打ち合いができそうだ。連絡先を聞いてもよいか?」

「構わんぜ」

 端末でやりとり。神凪はこれから実戦授業だそうだ。

 さて、昼休みも終わりそうだ。教室に行こう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る