第12話 長期休暇に課題のことを忘れるのはよくある
ある日、俺達はカメの甲羅やバナナで妨害するレースゲームをやっていた。
「はい、オレの勝ち!なんで負けたのかの明日までに考えておいてください!」←一位
「俺をわざわざ狙い撃ちしやがったな夏川!俺がジャンプ中にサンダーを使いやがって!」←十二位
「まあまあ、落ち着いてください先輩。アイテムをいかに上手く使うかがこのゲームの醍醐味ですから」←二位
「氷上も俺と同じことされたらキレるだろ。あとお前も俺が復帰したところをス○ー状態で跳ね飛ばしていったこと忘れてないからな」←十二位
「あれは私の目の前に出てきた先輩が悪いですね」←二位
「瀬奈ちゃんも大概だね…」←四位
「私もとばっちりを受けたのです…」←十位
「小唄ちゃんどんまーい」←三位
復讐を誓いながらもう一戦。今日も今日とて俺達は遊びまくっていた。ここ最近ではよくある光景。長期休暇だから出来ることだがそれも終わりに近づいていた。
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「そういやそろそろ春休みも終わりだなあ。オレ等もついに高校生か」
ふとカレンダーに目を向けた夏川がそう溢す。
「先輩達ももう高校生ですか…。大丈夫なんですか?いろいろと」
体はともかく中身は子供でしょとでも思っていそうな氷上は相変わらず先輩に対する敬意が足りない。
「俺達の心配をしている場合か氷上?俺達がいないと学校ではぼっちだろ?」
「寂しくて泣いちゃうんじゃないかとお母さんは心配ですよ!」
「失礼な先輩達ですね。私にだって話をする人くらいいます。あと夏川先輩はその口調をやめてください」
「そこで友達って言わないあたりが心配なんだが…」
ジト目で抗議をしてくる氷上だが否定出来ないだろ。
「瀬奈お姉さん、私がいるからね?」
「私もいるのです!せなおねーさんは友達なのです!」
「ありがとうございます。二人とも」
小学生二人にまで心配されている。でもお前らもまだ小学生だから学校は別だろうに。
まあ本人が気にしてないならあまりうるさく言うのもな。放課後や休日なら今まで通り俺達と遊べるだろうし。
しかし俺達ももうすぐ高校生か…。
「実感が湧かないよな」
「なんだかんだで今まで通りに遊んでたからねー」
毎日のように遊んでいたらいつの間にか三月も残り少なくなっていた。新生活が近づきつつある。
高校生になれば行動の制限が減る代わりに責任が増える。義務教育も終わり大人に向けて第一歩といったところか?大人から見ればまだまだ子供だろうが。
今までみたいにひたすら遊んでいるなんてことは出来ないだろう。
「というか先輩達は遊び過ぎじゃないですか?」
「今回の休みは課題がなかったからな!ひたすら遊んでたらあっという間だった!」
「やっぱり遊んでいると時間の進みが早いよな」
「羨ましいですね。こっちはそれなりに課題が出てたというのに」
「あはは…ハル達が遊び過ぎなだけだよ。私は少し予習したし」
「真面目か」
よく予習なんかする気になるな。高校生になれば受験勉強があるから気にせず遊べるのは今くらいだというのに。というか結構一緒に遊んでたのによく勉強する時間があったな。氷上もだが。その一方で…。
「あっ…」
「忘れてたのです…」
思わずといった感じで声が漏れてしまった彩音と小唄ちゃん。氷上や吉崎と同じくよく一緒に遊んでいた二人は完全に宿題を忘れていた模様。
縋るような目でこちらを見てくる小学生二人。明日は勉強会になりそうだな。
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