時にルビは雑音に
カクヨムには『カクヨム記法の挿入』というのがあり、簡単にルビを振れる。大抵は、難読漢字の振り仮名や作者なりの読み方を提示したい時に使用されるだろう。言わば、ルビは作者の親切心、有り難い気遣い。
しかし、良かれと思ってする行為は、有難迷惑と表裏一体な嫌いがある。
冒頭から次々と登場人物が出て来る作品がある。僕は脳の演算能力が鈍いのか、三人くらいの把握が精一杯。短編作品で四人も五人も登場すると、もうお手上げ。
しかも、全てにフルネームが設定されている事がある。舞台が近代以降ならば姓名があるのは当然なのだろうけれど、その物語にとって必要不可欠かどうかは今一度考えてみて欲しい。
更に、何の変哲もない名前に逐一ルビが振られていたら寧ろ混乱を招くと思う。その上で、それぞれの関係性が一気に説明されていたりしたら、僕はもう撤退するしかない。
ルビの話ではないけれど、片仮名ネームが沢山出て来ると混乱するのに似ている。外国人だけでなく、ファンタジー系ラノベも片仮名ネームばかりという事があるだろう。
『名は体を表す』だったら判り易い。少々ギャグっぽい例だけれど、太った人物が『太山君』だったり、頭の悪い人物が『大場加奈子さん』だったり、いけ好かない金持ちが『ナリーキン・イヤミッタラシー氏』だったりしたら、一種の目印として機能するから理解し易い。そう言えば、アニメ『ルパン三世』を観ていたら『ドン・ケッチ』なるけちん坊の金持ちが出て来た。
作者にとって登場人物は血の通った存在と同等に愛おしいかも知れない。だからちゃんとフルネームを設定したいのかも知れない。
長編ならば人物を徐々に登場させる事も可能だから良いが、短編で何人もの人間にフルネームが必要かどうか、一考の価値はあると思う。
単純な話、過剰なルビは目がちかちかする。そこに『ルビ芸』的なお遊びがあるのならばまだしも――。
今日もまた投稿作を読もうかと思ってやっぱり止めてしまう僕が居る。
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