出雲地方出身カクヨム利用者多数説

 自主企画やプロフィール、近況ノート、作品の紹介欄等でちょくちょく見掛ける言い回し――


「して頂けたら喜びます」


 カクヨム利用者には出雲地方出身者が多いのかなと思っていたが、そんな筈はないだろうという事で、一種のネットスラング(カクヨムスラング?)か、特定ジャンルの小説愛好者内のジャーゴン的な慣用句なのかも知れない。「誰かが使っていて、良さ気な言い回しだと思ったから使ってみた」という、よくある広まり方だろう。


『「してみえました」の衝撃』で既に触れているけれど、島根県出雲地方の方言に『喜びます』というのがあり、これは共通語で言うところの『助かります』で、例えば「星を付けて頂けたら喜びます助かります」という事になる。


 しかし、カクヨム内で言わんとしている感覚は『助かります』とイコールではなく、「貴方の評価、感想、激励が、私の世俗的損得ではなく、私の感情(モチベーション)に良い影響を与えます」――そんなニュアンスで、文字通り『助かる』のではなくて『喜ぶ』のだろう。


 モチベーションなくして創作の継続は難しい。

 これはもうプロであろうとアマであろうと同じ。但し、プロならば『生活』という漬物石が伸し掛かるけれど、アマは今直ぐにでも蓋を開けて糠味噌を抜け出しても問題はない(何故か漬け物の例え)。

 プロは「生活が掛かっているのでお金を出して頂けたら助かります」とは中々言い難いが、アマは素直に感情(モチベーション)に限定してその喚起をお願い出来る特権がある。


 近年は『送り手が受け手に対してメンタルの手当てを懇願するような時代』になっていると感じる。

 昔から「是非ご家族やご友人等とお誘い合わせの上、奮ってご参加下さい」「もしご興味がありましたら是非ご覧下さい」等の定番の誘い文句が存在するが、飽くまでも受け手(消費者)優位の体裁を保った『奉仕ベース』だった。

 現在はどうかと言えば、送り手の中に大規模にアマチュアが参入しているからか、『懇願ベース』の嫌いがある。『チャンネル登録をお願いします』『投げ銭をお願いします』『拡散をお願いします』――。

 嘗てパトロンなる者がアーティストをバックアップしていた時代があったが、今や不特定多数から『塵も積もれば山となる』的な営業活動への協力や支援を直接的に要求する時代らしい。


 何れは『喜びます』から更なる発展をして、例えば山口地方で有名な方言『幸せます』へと変化するのだろうか(既に使われている?)。


「星を付けて頂けたら幸せます」

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