ゴジゴドク

 テレビの字幕でずっと気になっているのが「にも関わらず」と「樣子を伺う」。

 カクヨム作品内でもよく目にする。ほとんどの人が、うっかり間違えたのではなく、確信犯(この単語も誤用が多い)の筈だ。


「にも拘わらず」「様子を窺う」が正しい。


 放送媒体で堂々と流布されたらあっと言う間に全国規模で定着するだろう。「拘わらず」も「窺う」も使用頻度が低い漢字なので、テレビは平易な漢字を当ててしまうのかも知れない。

 因みに、カクヨム内で検索をすると「にも関わらず」は1,000件以上あった……一人一人に「違いますよ」と注意して回ったらどうなるのだろう。『確信犯』率が算出出来るかも知れない。


 テレビ(映画)字幕は出来るだけ画面に収まり易くする為、字数を切り詰めたいようだ。その癖『ら抜き言葉』は執拗に直して表示している。拘るポイントがアンバランスというか、それが慣例になってしまっているのだろう。何の疑問も感じず――感じていても口には出さず――前任者がやって来たようにやる。


 但し「拘る」は「かかわる」とも「こだわる」とも読むので、ちょっとややこしい。それが「にも関わらず」表記が定着した理由の一つかも知れない。因みに「○○に関わらず」は間違っていないらしい。不思議と言えば不思議。


 厄介なのは、タイピングの際の変換候補として誤用が出て来てしまう事。これは何とか成らないものか。「機械が間違う筈がない」という先入観が語用を助長させてしまう。そもそも一度でも誤変換したらそれが変換候補の上位になってしまうのだから、これはもう悪循環だ。


 校正バイトをしている時、ちょくちょく「ふいんき」という単語を見掛けた。勿論「雰囲気」と書きたかった筈で、タイピングの際に漢字に変換しないのだから気付きそうなものだが、敢えての「こんにち」表記と同類なのだろうか(最早「こんにちわ」を盲信している世代が幅を利かせているかも知れない)。


 中高年世代のブログ等にも「○○しずらい」と書かれていて、呆れる事がある。きっと漢字で「辛い」と書く事自体を知らないのだろう。それとも、これも敢えての「ずらい」なのだろうか。「こじんまり」も「こぢんまり」(小+ちんまり)と書こう。


 他に「綺羅星きら、ほしの如く」や「間髪かん、はつを入(容)れず」等、字面を見ただけでは永遠に気付かないだろう言葉(読み方)もある。


 誤用に関しては、沢山あるので切りがない。

 でも、こういう『誤記誤用警察』は足を掬われてブーメランが返って来るので「言葉は生き物! ゴキゴヨウ怖くない!」と言って逃げようっと。

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