校正の存在

 いつだったか、テレビ番組で校正者のドキュメンタリーが放送されていた。


 校正というと、誤字脱字を指摘して直す仕事のイメージだったけれど、その校正者はもっと踏み込んでいて、小説内の情報が正確かどうか、表現として適格かどうか、この一文は必要かどうか等まで助言、提案し、作家や編集者に絶大の信頼を得ていると紹介されていた。


 昔、僕も校正のアルバイトをしていた事があり――と言っても、一般人が書いた食レポみたいな文章に手を加えるもの――誤字脱字のチェックの他、不適切な表現の書き換え、規定文字数の補填等をやっていた。あの経験は文章を「書き直す」訓練になったかも知れない。


 一般に市販されている書籍でも、明らかにミスと思える箇所を見付ける事がある。作者が改めて見直しても、プロの目でチェックして貰っても、漏れが生ずる事はままあるのだから、言葉として完璧且つ魅力的な文章というのはつくづく難しいと感じる。


 趣味で文章(小説)を書いている場合、誰かに読んで感想を貰う事はあっても、校正して貰う事はほとんどないだろう。精々「ここ、漢字が間違ってるよ」くらいか。


 第三者の視点は大事だと思いつつ、たった一人で文章を構築しようとする試みはどこまで意味があるのだろうとも考えてしまう。


 某ラジオ局の某スペシャル番組内で、タモリ氏が当該テレビ番組を観ていたようで話題にしていた。やっぱり単に誤字脱字の訂正だけではない校正がある事に驚いていた。

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