「ゆくりなく」を知った日

 語彙が豊富な人は間違いなく読書家だと思う。


 本は、他のメディア(映画、テレビ、漫画、アニメ、音楽、ラジオ、新聞等)よりも遥かに語彙の習得に向いているだろう。

 勿論、本の内容に依って豊富さの質は異なるだろうけれど、テレビの過剰字幕や素人ネット記事が溢れる昨今、誤字や誤用も公然と溢れるようになった。


 ものを書く人の中には、多くの読者が意味を取り易いよう、なるべく平易な言葉を選ぶ人も居るだろう。

 けれど、単純に内容さえ解れば良いというのならば、それこそファスト動画のように粗筋が判れば良い、という事にも繋がる。


 読書の醍醐味には色々な観点があって然るべきで、その中の一つに『未知の言葉を知るきっかけ』があると強く思う。

 例えば、昔の本を読んでいると、今の作品では余りお目に掛かれない表現が出て来て、それだけでも面白いし、専門用語や業界用語、その時々の流行語等も面白い。


 知らない単語や言い回しにぶち当たる度に辞書を引いていては集中出来ないが(今はネット検索があるけれど)、かと言って意味が解らないまま読み飛ばしては内容の理解に支障が出る。


 それでも僕は、平易過ぎない方が良いと思う。そういう意味では、作者は読者よりも頭が良くなければならない、とも思っている。


 因みに、この文章を書いたきっかけは、偶々読んでいた本の中に『ゆくりなく』という言葉が出て来たから。気になる方は検索の手間を掛けて貰いたい。

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