読んで貰って良いですか?

 以前からこの「○○して貰って良いですか?」という言い方が気になって仕方がない。何処となく高圧的な、半強制的な雰囲気が漂っているように感じてしまう。


「して貰って良いですか?」

「嫌です」

「何だとゴラァ!」


 ――みたいな展開まで想像してしまう(強迫観念?)。

 しかも「頂いて」ではなく「貰って」というところに「何様?」感がある(勿論「して頂いて宜しいでしょうか」というより丁寧な場合もある)。


「して貰いたいのですが」ならばもっと謙っているように感じるし、「して欲しいのですが」と言われれば単に懇願が感じられてスムーズに助けたいと思える気がする。「してくれますか?」「して下さいますか?」もほぼ同様。


 そもそも「頂く」と「下さる」との間には深くて暗い川がある。


 A「便宜を図って頂き、ありがとうございます」

 B「便宜を図って下さり、ありがとうございます」


 どちらがしっくるり来るかと言えば、僕としてはBの方が「正しい」ように感じる。

「頂く」は自分側の視点、「下さる」は相手側の視点というニュアンスがあり、「相手」に何かをして貰った(頂いた)のは「自分」で、「自分」に何かをしてくれた(下さった)のは「相手」、と考えれば解り易いかと思う。


「便宜を図ってくれた(下さった)相手に感謝の意を伝えている」のだから、Bの方が良いだろう。

 Aでも意図するところは解るけれど、「便宜を図って貰った(頂いた)他でもない俺様が感謝の意を伝えてやってる」という、極端に言うと「自分優位」のニュアンスを感じてしまい、個人的には違和感がある。


「○○して貰って良いですか?」の中には、先ず「自分は他人に○○して貰う権利がある、貰えて当然」の含意があり、「良いですか?」は「私は○○して貰うのに値する人間だから問題ないですよね? 駄目じゃないですよね? 断りませんよね?」という詰問を内包した文言であり、同時に、口喧嘩の際にも登場する嫌味、皮肉、侮蔑的なニュアンスを醸す「ですます調」で締め括っていて、一見下手に出ているようで相手に首を縦に振る事を強制する最強最悪のキラーワードなのである!


 ――以上。あぁ、すっきりした。

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