「だそう」だそう

 いつの頃からか、テレビ番組のナレーションでよく聞くようになったフレーズ「だそう」。特定の番組ならばいざ知らず、多くの番組で使われている(流石にお堅い番組では皆無)。最近では、特にネット上の文章でもちょくちょく見掛ける(こちらも真面目な内容では使われまい)。


 喋りが先か、活字が先か、それは兎も角、どういう訳か僕は苦手中の苦手。苦手過ぎて、話者が「○○だそうです」と言った時に思わず「○○だそう!」と逆訂正したくなる。日本語として正しいとか、間違っているとかとは違う、もっと生理的な違和感を覚えてしまう。


 似たフレーズで「○○だとか」「○○のよう」も耳にする。だけど、これらは不思議と余り気にならない。もしかしたら「○○だそう」は最も近年に登場した言い回しで、頭に馴染んでいないのかも知れない。


 想像だけれど、ナレーションは「ですます調」が多い為、語尾の多くが「○○です」「○○でした」等になり、単調な印象を与え兼ねないと考えた作り手が、要所要所に砕けた言い回しとして「○○だそう」を入れ始めたのではないかと睨んでいる(「○○だとか」「○○のよう」も同様)。


「○○だそう」を文章内で使うのは、寧ろ難しいように感じる。冒頭で、ネット上の文章でも見掛けると書いたが、飽くまでも一般人の日記的(独り言的)なブログやSNS、軽い記事等の事。小説内で多用されている場面を、僕はまだ読んだ事がない。


 裏社会の人間ならば、彼が凄腕のスナイパーである事を知らぬ者は居ないんだそう。僅か五分の間に十人もの命を奪った離れ業は、今でも語り草なんだそう。しかも、彼はそれを高速移動する車内からやってのけたんだそう。


 ――別の意味で面白そうだそう。

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