第3話
突然、叔母さんが亡くなってしまった。
お母さんは叔母さんのなきがらに、おねえちゃんっ!としがみついて。おばあちゃんも、どうしてお前が……、と涙をこぼして。みんなで叔母さんの思い出を手の中なら集めながら握り、目に思いを溜めてすがりつく。おじいちゃんは女の人たちが先に悲しめるように、くしゃくしゃな顔で耐えて直立不動で。自分がすがれる時を待っているようだったけれど、時間が来て、おじいちゃんはとうとう叔母さんに触れられなかった。白い布の上からみんなしてお別れを言う。
そこに、お兄ちゃんは、いたのに。
お兄ちゃんは、微笑んでいた。
目に涙を溜めて、眼鏡に水滴を落としながら、おじいちゃんのように、しかし、優しく佇んでいた。
お兄ちゃん。じぶんのお母さんが、死んだんだよ?どうして駆け寄らないの?お兄ちゃん。
わたしは、そんな、我慢するような、耐えるような、諦めたようなお兄ちゃんが好きだった。
そんなお兄ちゃんも好きだった。
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