「今の私」が見る世界

華ノ月

この「傷痕」は証

 突然ですが、私の腕や足(太もも)には自傷行為で切った傷が沢山あります。その傷痕の中には縫うまでに至った傷もあります。腕に関していけば、手首辺りから腕の付け根辺りまで、両腕に沢山あります。


 その頃は、とても辛くて「生きている」ことを確認するために傷を付けてきました。


「自傷」することで「生きている」という感覚の承認欲求が欲しかったのです。


 でも、「今の私」は別の意味でこの傷は必要です。


 おそらく、最近の私しか知らない人であれば、私が過去にかなり悪かったと言っても信じることができないと思います。


 私は今ではそのころの面影がないくらい、かなり良くなっているからです。


 なので、今の私にとって過去に自傷行為で傷をつけた沢山の「傷痕」は、なのです。


 多分この傷痕たちを見たら大半は驚愕するでしょう……。


「こんなひとがなんで?」


って、中には思う人もいるかもしれません。


 過去の私も知っている人は、私がここまで良くなれたことに驚き、それと同時に「諦めなければ良くなる可能性がある」という希望を持つことができているみたいです。


 でも、最近の私しか知らない人も沢山います。それに、状態が悪かった時のことを知っている人でも、今の私を見ると雰囲気が一致しなくて「同じ人に見えない」と言われることも多いです。


 それだけ、私はここまで良くなることが出来ました。


 その時に、良くなってから知り合った人にある事を言われたのです。


「○○さんみたいな人に私の苦しみが分かるわけない!!」


 そう言われて、ハッ!と思いました。

 

 確かに私は過去に暗闇をずっと歩いてきましたが、今の私ではということを感じたのです。


 なので、私は本当に辛いということが分かるという証拠として、その人に腕の傷を見せました。


 その人はその傷を見て、愕然としていました。


 同時に私が過去に本当に苦しんでいたんだということを理解してもらうことが出来たのです。


 そして、その人が涙を流しながら言いました。


「いつか、○○さんみたいに良くなれる日が来るのを信じて頑張る」と……。


 確かに最初は私自身もこの傷がなければもっと良かったのに……と思っていました。


 でも、今ではこの傷たちは証なのです。


 自分にはそういう過去が確かにあったのだということ。


 そして、その過去から乗り越えることができたということ。


 今の私にとってこの傷たちはかけがえのない愛おしい傷たちです。この傷を見るたびに、私は感じます。


「私はあの暗闇から抜け出したのだ……!」と……。


 それと同時に、今の私が過去にどれだけ辛かったかを周りの人たちに説明するときの「証明」にもなり、どれだけ暗闇でも優しい光は得られるという話にちゃんと聞き耳を持ってもらうことができます。


 もし、この傷たちがなければ私が過去にどれだけ苦しかったか、そこからここまで良くなったと言っても信じることができない人も中に入ると思います。


 なのでこの傷たちは「論より証拠」なのです。



 私は沢山の苦しんでいる人に伝えたいです。



「希望を捨てないでください!!


 諦めなければ、いつか、いつか、優しい光は見えます!!」

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