第3話

顔だけじゃない。頭の先からつま先までじーっと見てみるとどこにでもいる普通の学生といった感じがするのがビックリするほど意外だった。

普通だったらがっかりするところだろうか?でも私にとっては逆に普通すぎる彼に親近感を持った。目立つからといって何も特別じゃない。世界が違うと勝手に思っていたのは私の方だったのかも・・。そう思うと同時に何故普通なのにあれほど人気があって陽キャでいられるんだろう?と強く興味が引かれた。そして今日夕陽をみて無邪気に感動している彼への思い込みが少し解けた気がした。


「時々こんな風に帰り道が一緒になることもあるかもな。だって俺世界にこんな綺麗なもんがあるって知っちゃったんだもんな。」

彼がきびすを返し歩いて行こうとした瞬間思わず彼を呼び止めていた。

「ちょっと待って!もう少しだけ。」

言った後でハッとする。自分でも一体なぜ呼び止めているんだろうとしどろもどろになりながら彼の背後の空が緑がかりつつあるのが見えた。

「見て!」と彼の背後を指さす。彼が振り向いたと同時だった。

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