第4話

今までオレンジにたなびいていた夕陽が一瞬輝くばかりの緑色に染まりその太陽を中心に緑色の光線が地平線のように左右に伸びていた。それはまるで巨大なエメラルドのように輝いてそして一瞬で消えた。そのままあたりは藍色の薄暮に包まれていった。


私は知っていた。


それはグリーンフラッシュと呼ばれる現象だった。

正確にはこんな都会では見ることが出来ないなんちゃってフラッシュかもしれなかったが。

しかしまさかこのタイミングで見ることが出来るとは思わなかった。でも私は願っていた。

一瞬で思ったのだ。

「見せてくれるなら今この瞬間に見せてください」と。

彼は陽キャらしいおどけたフリをすることさえ忘れただただ今し方見たものが信じられないといった面持ちで私をみた。


「すげえな・・・」

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