第4夜 叶えられなかった願い

 俺は翼の生えた悪魔だ。両親も仲間たちもみんな角や翼を持った悪魔たちだった。しかし平和に暮らしていた。



 だがある日、創造主の神に出会った。アゴひげをたずさえた神は、物珍しげに尋ねた。「お前は悪魔にしては優しすぎるな? よし、お前の願いを一つだけ叶えてやろう」と。



 俺は、ひとしきり悩んだあと「平和です」と答えた。「望みを叶えよう」と神に告げられ、光に包まれた俺は……いや、わたしは天使に生まれ変わった。足元には先ほどまでの同胞の悪魔たちが見える。



 わたしは新たな兄弟、天使たちの前で腕を振り上げた。「さあ!裁きつかさたちよ!根絶やしにせよ!」と。赤子の弟、妹たちを抱いた両親が逃げ惑うなか、いっせいに稲妻が放たれた。



 その様子を、雲の高みから見物していた神だけが、手を叩いて笑っていた。

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