第3話

「ちょっと!ここにいるの分かってるんだから!ウチのボランティアを騙して誘拐してきた奴が!出しなさいよ!それともこのホテルは少女を誘拐した人間を隠し立てするの?!」

「お客様!そう仰るのであれば然るべき所にご連絡してお手続きをされてこちらにいらしてください!それ以外は個人情報ですのでお答えできかねます」


クライトンベイホテルのロビーが騒然としていた


「ちょっと!何やってんのよ!」「ここは犯罪の片棒担いでるのか?」「大人しく呼んでこい!」

5人の集団は1人を中心としヤジをとばしてい



〜1638号室〜

プルルルルルル

「はい、何でしょう?えぇ?はい…はい…」

名城が電話口を抑え松田に問いかける

「社長、ライズと名乗る方々がロビーに押しかけてるようです」

「へぇ?もう音羽ちゃんの居場所がバレたの?なんでだろう」

「早すぎますね…あ!」

弟村が何か気づいて広瀬に近づいた

「スマホの電源切ってないだろ?」

広瀬はハッとしつつカバンのスマホを確認しようしたが恐怖なのか手が震えて上手く動かせない

「あ…」

「やっぱり…逃げるにしても脇が甘いな」

「ご…ごめ…ごめんなさい…」

「弟村?ストーップ、僕らは当たり前だけど音羽ちゃんはそんな事知らないから気にしないでいいよ、椿ちゃん、相手何人か聞いてくれない?」

抑えてた電話口を外し応対

「お待たせしました、訪問を希望されてる方は何人でしょうか?」

名城は5人と合図

「5人か…ロビーで相手するの面倒だな、どこか借りられないか聞いてみて、あとサンドウィッチルームサービスで頼んで」

「お手数お掛けしてすみません、短時間で構いませんのでどこかスペース借りられないでしょうか?」

ルームサービスの件を伝えたら名城は首を振っていた

「さて、音羽ちゃんは絶対にこの部屋から出ない、いいね?弟村は僕がペン型カメラで撮った画像を解析して」

「わかりました」

「社長、短時間でしたら18階のラウンジをお貸しして頂けるそうです」

「OK、じゃあ準備出来たらホテルの方に案内させて、あ!サンドウィッチも!音羽ちゃんの分もね!」

「重ね重ねすみません…軽い軽食を2人分お願い致します…ありがとうございます、それでは…準備ができたら連絡して頂けるとの事です」

「ありがとう椿ちゃん」

「チャラ男さん、三山さん達の取り巻きは面倒だよ?大丈夫?」

「チャラ男て…まぁいいや、あんないちいち感情むき出しの連中なんて大した事ない、三山?だっけ?僕と話した時も論理的に反論しないで大きな声と抽象的な事しか言わなかったからあんなのどうとでもなる、それにいい大人がアポイントも取らないって常識無いの丸出し。いいかい?音羽ちゃん、立場が違くても相手に敬意を表す意味でもアポイントを取るというのはとても大切なんだ。」

「そういうものなの?」

「うん、まず相手の時間を使わせて貰うのだからね、お時間割いて貰ってありがとうって伝え易い。相手だっていきなり来る相手よりいいと思うよ?例えば音羽ちゃんだっていきなりデートしてくださいって言われたいい気しないでしょ?」

「言われてみたら…」

「ね?そういうこと、こういう間抜けは自分は相手の都合を考えない馬鹿ですって相手に宣伝しているもんさ」

「社長、準備できたみたいです、軽食はこちらにお願いしますか?」

「そうだね、よーし音羽ちゃんは絶対ここから出ない事!ここにいれば絶対安全だ、いいね!約束だ。」

「大丈夫なの…?」

「大丈夫!僕以外2人はすごーく強いから」

「チャラ男は弱いの?」

「ん?僕は頭で勝負するタイプだから弱くていいのだ!」

部屋のチャイムが鳴り名城が受け取って持ってきた

「はい、広瀬さん。これしか用意できなくてごめんなさい。これが済んだらちゃんとみんなでご飯にしましょう」

「うん、ありがとう」

「音羽ちゃんはお礼も言えて偉いよ、少なくとも三山?なんかより君の方が立派だ!さてじゃあ弟村、音羽ちゃんの事頼んだよ」

「了解です」

「椿ちゃんも準備いい?」

「少々お待ちを…」

そういうと自前のスーツケースから小型ナイフを取り出した

「ストーーーーップ!刃物はダメ!」

「冗談ですよ」

そういい特殊警棒を足に忍ばせた

「よーしピースカンパニー反撃開始!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

〜18階ラウンジ〜


「いつまで待たせるかしら!」

「本当よ!」「それにしても逃げた音羽は…」

「余計なこと言わない!」

と喋っていたら


「やーーーー!お待たせー!僕がピースカンパニー代表の松田だよ」

サンドウィッチを食べながら松田が登場

集団の1人が詰め寄ってきた

「おまえ!ウチの音羽をさっさと返しなさい!」

「音羽?誰?椿ちゃん知ってる?」

「存じ上げませんね」

「とぼけないで!ここにいること分かってるの!警察呼ぶわよ!」

「呼びたきゃ呼べばぁ〜僕は全然構わないよ」

取り巻きの何人かが騒ぎ立てた

「そもそも物を食べながら人と話すなんて失礼じゃない!バカにしてるの?!」

「そうよ!」

「あのね?名乗りもしないアポイントもとらない人間が礼儀の話をしても説得力ゼロだよ〜それともなにかな?君たちは相手が誰でも突撃しちゃうのかな?僕は基本忙しからこうやって時間を作っただけでも感謝して欲しくらいだよ」

サンドウィッチを食べながら答えた

リーダー格の女が名刺を出した

「NPOライズの代表をしている私 三山 綾香と申します…一緒に来てくれたのは賛同者さんです」

「ふーん?NPOねぇ…よくわかんないや」

松田はその場で名刺破った

「あなた!どういうつもり!無礼じゃない!」

「無礼なのはどっちだよ?勝手にロビーで僕の事誘拐犯扱いしてさ?アポイントも無しに訪問、それに名刺なんてなんとでも書けるからね?そんな人達に礼儀なんて必要あるの?」

集団の1人が三山を制止し前に出た

「こちらの御無礼大変失礼いたしました、私は顧問弁護士をしてる吉野と申します」

「ふーん…で弁護士さんまでなんの用かな?」

「こちらに居ると思われる広瀬 音羽を返して頂きたい」

「だぁかぁらぁ?居ないって僕の所には」

「GPSでこちらに居ること判明済みですよ?こちらとしましても大事にしたくはありません、そちらもお嫌でしょう?」

「ふーん、僕は全然構わないよ、大事にしても。でもこのホテル部屋数凄いからね、1部屋1部屋確認してみたら?てかさ?なんで僕が連れ去ったって言うの?なんか証拠でもあんの?僕がその…広河 なんちゃらを連れ去ってる証拠があるの?防犯カメラでもあるのかなぁ?僕実はあの日以来、三津川?さんとお会いした日からホテルからはでてないんだよね、確認していいよ」

弁護士の吉野を押しのけて三山が噛み付いた

「私は三山です!そんなもん地下から出たり裏口や通用門から出たらどうにでもなるじゃない!」

サンドウィッチのマヨネーズを口に付けたまま松田が答えた

「なんか証拠あるんですかぁ〜?ねぇ?ねぇねぇねぇ?僕がホテルから出たって証拠?出してよ?広山?さんを誘拐したって証拠も?ホレホレ、三島さん」

人を怒らすのは天才的に上手い

「私は!三山です!あなたさっきから人の名前間違えて馬鹿なの?!」

「僕の事馬鹿って言った?」

「そうよ!何度も何度も間違えて!」

「それって貴方の感想ですよね?うわーショック、親にも言われた事ないよ、親の顔知らんけど、僕が馬鹿かどうかは君が証明しなきゃいけないよね?誘拐犯扱いに馬鹿呼ばわりこれは立派な名誉毀損だね、三津川さんだっけ?そっちがその気なら僕もやるよ」

「三山です!好きにされたらいいんじゃない?!こんな理解力が無いやつと喋るだけ無駄ね!」

「社会通念ルールを理解してなくてアポイントも取れない人達に理解力ないって言われちゃった、テヘペロ、いやー残念だなぁ〜君達が来る前に少し調べたんだけど君達の活動って寄付なのね、僕は理解力はないけど金だけはあるから寄付しようと思ってたけど誘拐犯かもしれなくて理解力もない人からの援助なんて高貴な貴方たちは嫌でしょ?しかもこんな気持ち悪いやつからは、初めて会った時言ったよね?気持ち悪い気持ち悪いって」

弁護士の吉野が前に出た

「大変失礼致しました、失言や対応も重ねてお詫び申し上げます」

「いや、謝らないでいいよ」

「こちらの要望をお聞き頂けないのでしたら我々も訴訟準備に取り掛かりますけどよろしいでしょうか?」

「出たー!リーガルハラスメントだ!怖いよー何で提訴するのかな?僕は事実の指摘をしてるだけだよ。誹謗中傷みたいな事してるのはそっちね」

「あんたが先に言ったんじゃない!」

「あれ?僕はやると言っただけだよ?勝手に解釈するのはダメなんじゃない?あ!僕は理解力ないからわかんないや」

取り巻きからのヤジが飛んだ

「お前みたいな男ばかりだから私達が生きづらいのよ!」

「何?今の?隠れないで顔見せてよ、そこのグレーの上着の方だよね?それってどういう事?そもそも三原さんとの話に関係なくない?そういう主義は?」

指摘されたグレーの上着を着た支援者と思われる女は場が悪そうにした

「ねーねー?ちゃんと説明してよ、どうして僕みたいなのがいると生きづらいのかと広山さん?が居なくなった事と関連があるのか?」

三山を含め黙った

「どうしたの?人数集めて騒ぎ立てて法的措置をチラつかせたら僕がビビると思った?今までそうしてきたんだろうね、残念!ほら?早く説明しなよ?君達の主張を僕にぶつけなよ?てか君達一体何がしたいの?」

三山が口を開いた

「ここにいるハズの音羽を…」

「いる「はず」?「はず」って何?まさか状況証拠だけで確固たる証拠も無しにきたんだぁ?ふーん…理解力の無い僕にはわからないなぁ、僕がもし貴方達の立場ならきちんと裏とって証拠固めるね、あぁそうか?今まではそれで押し通して来れたんだもんね、ラッキーだったんだよ?君達が勝ててきたのは。いや、勝ったんじゃないね、さっきみたく論点をズラしまくって相手を捲し立てて人数かけたから相手が折れてきたんだろう、なぜなら「面倒だから」ね」

吉野が割って入った

「もう結構です、こちらも準備をしてまた伺います」

「今度はちゃんとアポ取ってね、まぁ会うか会わないかわかんないけど…てかさ?その広沼?さんがいなくなったなら親御さんが探しに来るならわかるけどなんでいない訳?」

「広瀬の親に頼まれたんです!」

三山が睨みながら答えた

「だったら委任状くらい見せてよ、仮定の話だけどもし僕の所にその人?がいるとしたら親でもない、警察でも無い人間に引き渡すと思う?なんせ他人が他人を探してるんだから、ねー?椿ちゃん、僕の言うことおかしいかな?」

「いえ、仰る通りかと」

「金持ちに媚び売って楽しいかよ…」

「そうよ!」「みっとないと思わないの?そんな格好して」

「誰?今言ったの?ちょっと…君だね?そこのアースカラーのアウターの人、あとそこのカーディガンの方、どういう事?論点すげ替えるのはいいけど今のは聞き捨てならないな、ちょっと顔見せて、嫌ならこっちから行くよ」

そういい名城を野次った女の前に行った

「どうしたの?誰かの盾がないと威勢のいい事言えないのかな?顔晒すとお口にチャック?それにウチの名城がいつ僕に媚び売った?同意しただけだよね?」

「ウチの賛同者を脅さないで!」

「三山さん、君とは今喋ってないから口を出さないで」

「…あんたが言わせたんだ」

「はぁ?論理が破綻してるよ、さっきの人もそうだけど広瀬さんが居なくなった事とどうそれが関係してくるの?凄く飛躍してるよね、数と言いがかりに近い形を押し付けてきただけの事を自分の力と過信しちゃったのかな?名城は自分のポリシーをもってオシャレをしている、その事を誰も否定する権利を持ってないよ、それに名城はとても優秀だから僕が雇っているの、きちんとウチの名城に謝罪してもらおうか」

恐らく三山達は松田の事を見くびっていた、完全に想定外だったのだろう全員が沈黙。

「謝罪して欲しいけどこれ以上やると強要罪になるからね、名城君どうする?」

「結構ですよ、そもそも私何も気にしてませんから」

「そっか、良かったね、ウチの名城が寛大で、さて吉原さんだっけかな?今日の振る舞いは全て録音録画している、然るべき方に相談させてもらうからね」

「通達のない録音録画は証拠として…」

吉野もタジタジだ

「うん、証拠能力低いけどそれが何?これも立派は証拠だよ、あと君達ライズの活動ってさ、少女達だけを匿うだけの?なんかそれっておかしくない?ちょっと年齢上の女性や男の子とかどうするのさ?」

三山が顔を真っ赤にして反論してきた

「男やそれ以外は私達の範疇じゃないの、仕方なしに身体を売るような事してる人達を保護してる!それの何がおかしいの!私達は人助けをしているの!」

「男は範疇じゃないとか随分と推敲な人助けなんだ、それに売るとか買うとか凄く変な事言うね、売ると決めたのは本人だしそれに仕方ないから売ってきたなんて詭弁でしかなから、本気で自分の環境を変えたいならいくらでもやりようある、仕方ないなんて自分に都合のいい言い訳だよ、それに保護する事が正しいのかな?少なくとも職を斡旋したり親御さんと話合ったりして彼女らが二度と保護されないようにする事が支援じゃないかな?君達のやり方を否定はしないけど少なくとも僕ならもっと違うやり方でやるよ」

「あなたと考えなんて似てなくていい!今日は帰るわ!もう!」

「帰るのはいいけどさ?ここのラウンジ貸し切ったからその料金は君達も払ってよ」

三山含め呆気に取られたようだ

「なんで私達が払うのよ!」

「ここに案内しろとは言ったけどタダでだなんて言ってないよ?君達が勝手に案内されてきたんだ、きちんとその時料金の話をホテルの方とするべきだったね、さぁどうする?一流ホテルだ、結構するよ?」

「あんためちゃくちゃじゃない!」

「そう僕はめちゃくちゃだよ、でも請求させてもらう」

「払えばいいんでしょ!」

「はい、請求書、払えないよね?いいよ、僕が払っておくよ。少なくともこれで僕は君達に貸しができたね、アハハ」

三山はもう頭から噴火しそうな勢いだった

「あーーー不愉快!行きましょ!もう!」

そういい取り巻きとラウンジを足早に去って行った


「社長って本当に人を怒らせたりイラつかせたりする天才ですね、口元になんか着いてますよ?」

「そうかな?僕ああいう奴ら嫌いなんだよ、自分らは間違ってないって思ってる連中、そのくせ理解力皆無だからすぐキレ散らかす、ああいうのは僕にとって無価値な人間、いない方がいいね、さて音羽ちゃんが心配してるから部屋に帰ろうか」

松田も部屋に戻ろうとした時名城がお辞儀をした

「社長、ありがとうございます」

「何が?」

「私が優秀だからそばに置いてるって仰ってくれて嬉しかったです」

「僕は事実を言ったまでだよ、君以外僕の世話なんてできないでしょ?」

「クスっ…そうですね、こんな自己中でワガママな人のお世話はなかなか務まりませんねから」

「だよね、さ、帰ろう」


2人はエレベーターに向かった


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「なんなのアイツは!」


〜…さんが珍しいね〜


「本当に腹が立つ!あんな訳わからない人!」


〜落ち着きなよ、今回はたまたまじゃないか?それよか今度の合宿はどうする?〜


「今はちょっと…派手にやり過ぎたからライズでも噂になってきたからちょっと時間を開けたいわ」


〜それは困るな、買い手は決まってるんだ、人数合わせ頼むよ、もう前金は貰ってるんだ〜


「…わかりました…それでしたら1つお願いが…」


〜分かった、なんとかしよう、それでは〜




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