第60話 天然の恋(三)

「それは本当に意味不明だよね?君らに対してごく普通の態度をとっているのに」


食事中、俺は向かい合った白婷婷ハクテイテイ薛勇シュエツヨシに文句を言わずにはいられませんでしたが、二人は顔を見合わせましたが、黙っていました。


「ねえ、教えてよ、もしかして女の子の毎月あの日だから? でも、ちょっと時間が合わないじゃん、もう半月以上も経っているのに、連続に来るはずがないだよね!」


「もしかして、勉強のプレッシャーで精神的な不安が生じたとか?まあ、こう考えると、愛青アオイちゃんは結構プレッシャーがかけられているからね!」


俺は皿の上の残り物を二、二で片付け、だが、口の中では味を感じませんでした。


「彼女の理由はすべてわかったら、俺らに聞く必要がないじゃん?」と薛勇シュエツヨシは目を丸くして突っ込まれた!


俺は恥ずかしそうに微笑み、「婷婷テイテイさんはどう思うのか?」と尋ねました。


白婷婷ハクテイテイは少し考えたら、俺に聞いた。


「半月前って、祝って二人が夜酔って眠ってしまって、その後だよね?」


「そうだ、そうだ、あの直後だった」


それを聞いた俺が思い出して、何度も頷いた。すると、白婷婷ハクテイテイの眉毛がシワに出るほどとなった。


「その日、彼女はあなたを家まで送ったけど、もしかしたら、彼女に何かいけないことしたのでしょうか?」


「はぁ?」


確かにその日以降は、俺はすぐには学校に来ず、芸術生であることを利用して数日間をサボってしまった。


学校に戻ったら、試験に関する情報を提出しなければいけないし、そして、数人の友人にあったら、その日のことを忘れてしまった。


白婷婷ハクテイテイの表情は凍りつき、囚人を尋問するような口調で「まさか、忘れたの?」と尋ねた。


これを聞いた薛勇シュエツヨシは食べるのをやめて、箸も置き、「これを言うなら、俺はもう食べられない」とテーブルをたたき、正義のふりをしてこう続けた。


「白状しろ、天然くん、この話を深く細かく話しましょう!」


「俺は...本当に覚えていない。もし今日教えてくれなかったら、俺は完全に忘れた、てっきり送ってくれるのは勇兄だと思った!」


俺は無邪気でうつろな表情で言い訳を話したが、やはり、そこに罪悪感を感じたようで、彼らの目線からそらして呟いた。


「まさか…俺は愛青アオイちゃんに何かをした!?」


「さあ、酔っ払った後に何が起こったのか誰にも知らんよ~~」と薛勇シュエツヨシは横でニヤニヤ笑んだ。


いや、酔っ払った後は全身がぐったりして、手を挙げるほどつらかったのを覚えているが、どうやって彼女をからかうだろうか?


幸いなことに、このとき白婷婷ハクテイテイは俺に正義の波をもたらしたと合理的に分析した。


「彼がお酒を飲んだ後だと、結構おしゃべりだが、そんなに飲めないのに強がって、あなたを送り返したとき、完全に眠っているので、そんなことが起こる可能性は非常に低いと思う」


すると、薛勇シュエツヨシは、隣で冷ややかに笑って言った。


「必ずしもそうとは限らないでしょう?だって、もししかして、帰り道に目が覚めたらどうする?」


(この野郎は誰の見方かよ!?)


俺は彼を睨んで言い返した。


「助けてほしいのに、問題を混乱させないで、助けられないなら、黙ってくれない?」


「あら、痛いところを刺さった?俺が間違ってないようよ、だって、本当にあの日から彼女から距離を置くなら、君はクソとクソ以下の間を選択しただけさ!」


「これってどういう意味?」と白婷婷ハクテイテイが横から尋ねた。


「とにかく、俺が人間でないということさ」


俺は怒りを収まり、腕を組んで、あの夜に何が起こったのか思い出そうとした。


愛青アオイは、いじめられても誰にも言わないタイプだから、もしそんなことがあったとしでも彼女から聞き出すには無理な気がする。


ということは、やはり、自分で解決するしかない!


もしかして…俺は本当に彼女をいじめていたのでしょうか?


でも、俺が彼女をいじめた回数が数得ないほどだが、毎回うまくできたのに…


今回のような状態だと、その夜、俺がどれほど彼女をいじめしたのだろうか…


想像するだけで、俺は理由もなく震えた!


...


...


それから数日間後に、俺はさり気なく彼女に存在感をアピールしたが、曹愛青ソウアオイは常に俺を無視しているようで、正直がっかりした。


俺は以前に比べてかなり成長したと思っているが、実はまだ若いことは避けられません。更に、最近芸術試験に合格したし、天狗の鼻になるほどではないが、ただ、やはり浮いてしまった気持ちがある。


ずっと、積極的にこの状況を打ち解けでも相手が全く受け取れないを見て、俺も心の中で少し不満を感じました。


(俺が君に何か借りでもしたかよ!こんなことしたら、本当に舐め犬になってしまうのではないか?)


最近、俺の頭の中に時々この考えがこだまするが、この半年間の変化がなかったら、俺がそういう考えすらないはず。むしろ、今の彼女との支障なくテキパキ話せることを満足していたはずだ。


だが、彼女と隣同士で座ったときから、俺が冷静で理性的で接触した。それから二人の間はいつもその基調だったので、だが、今はその関係が変わってしまい、俺の中にはギャップが生じてしまった。


曹愛青ソウアオイは俺を無視するのも理解できる。何と言っても今は高三で、大学受験の日にちが近づくに連れて、プレッシャーが日々増している、誰もが俺のようにリラックスできる状態ではないのだ。


しかも、クラスの担任先生もかなり彼女への期待が高く、そのせいで、彼女がますます不安となっている。


さらに、彼女は心にあのことを隠しており、彼がいつも彼女の前で存在感をアピールしているのを見て、まだ良い関係を維持するのも彼女の優しさだから。


しかし、双方の間に蓄積された感情は、臨界値に達しようとしている治水ダムのようなもので、雨が降るだけでいつかは決壊してしまいます。


そしてこの雨は、3月の春頃に、いきなり降り始めた。


この日は、学校主催の高三の学生に対して、心理カウンセリングの授業があって、当初は校庭で行う予定でしたが、みんなでゲームをして、リラックスができればそれで終わりだった。


今は、その雨のせいで、会場は室内体育館に変更せざるを得ないとなった。


体育館の屋根には雨粒がパタパタと降り、遠くでは時折春の雷が鳴り響きましたが、午後の授業が始まるまでにはまだ時間があって、雨にも関わらず学生たちは次々と体育館に殺到しました。


俺がバスケットボールのフープにあくびをすると、耳から突然、長い間聞いてない女の子の声が聞こえた。


「賀……賀先輩?」


俺は元気を出して顔を上げ、いつの間にか隣に見覚えのある人物が立っていることに気づきました。


惜兮シーシーちゃん!」


俺はすぐに立ち上がって、少々驚いたようで彼女を見つめた。


昨年は芸術試験で忙しかったので、二人はあまり会わなかった。その後、冬休みには会う機会さえなかった、偶には連絡を取り合っていましたが、その頻度は指を数えるほど減っていきました。


港町高校は、規模は大きくないが、誰かと意図的に会う機会は多いが、意図的に誰かを避けることも難しくない。


何ヶ月も会っていなかったにもかかわらず、俺は慣れた口調で彼女と会話を交わした。


惜兮シーシーちゃん、ギターの練習はどう?宿題を提出するのをまだ待っているよ!」


姜惜兮キョウシーシーは、この背も大きく伸びて、今は学校の有名人になっていた「元彼」を見上げ、彼から二人の約束をまだ覚えていると聞いて、心の中では小さな喜びを感じました。


しばらくすると、彼女は首を振って落ち込むように「もう…ギターの練習はしなくなった…」と呟いた。


「え!?なんで?かなり上手に弾けるのに…」と俺は尋ねた。


「ただ…個人的な理由があり、急に練習したくなっただけ」


この答えは、前回ギターショップで、急に立ち去った彼女の性格と一致しており、俺が彼女を慰める前に、姜惜兮キョウシーシーはすでに話題を変えた。


「そうだ、あたし、まだ賀先輩が映画学院への入学を祝っていませんでした!もう噂は学校中に広まり、うちの学校は将来に素晴らしい監督を輩出するだろうとみんなが言っていたわ!」


「ずっと前から先輩ならできると信じているからね!前さ、芸術試験を受けると知ったとき、友達にそう言ったんです…」


俺はそこで立ち止まり何も言わず、ただ、静かに姜惜兮キョウシーシーを見つめた。


可愛い女の子は何か言いたかったのですが、相手の目を見ることもできず、どんどん声が小さくなってしまいました…


しばらくして、大きな手が彼女の頭を撫でた。


「ごめんね…惜兮シーシーちゃん…」


俺は罪悪感を持った表情を浮かべていた。


先ほどまで、まだ小鳥のように鳴いていた姜惜兮キョウシーシーの目は突然赤くなり、森に飛び込む雛鳥のように、突然俺の身に倒れ込んだ!


このでき事が多くの学生に気づかれ、中には口笛を吹くおせっかいな人々もいたが、俺もびっくりして当惑したが、すぐに安心し、ゆっくりと手を下ろし、少女の背中を撫でながら、小さな体の震えを和らげた。


当時の俺は、ただあの完結していない恋を続けたかった。


でも、その愛が同じなのか?


もし、ある人への愛を他の人に移したとしても、それは同じでしょうか?


「愛」という言葉にはいわゆるやり残したことがまだあるのでしょうか?


今まで、俺はまだ答えが分かりませんでした。


ほんの少しの言葉で、人の感情の是非が決まるなら、この世に女性について文句を言うバカはそれほど多くないだろう。


胸の中にいる少女の体温を感じながら、俺は深いため息をつき、思わず視線をそらしたとき、突然、曹愛青ソウアオイが体育館の入り口の遠くに立っていることに気づきました。


約10メートル以上の距離で二人の目がぶつかった。


次の瞬間、春の雷鳴が轟き、曹愛青ソウアオイの姿が空の光の中に消えてしまった。


あまりにも短すぎて、俺はそれが幻覚だと思うほど短かった。


まだ放心状態の俺は、胸の中にいる姜惜兮キョウシーシーは、すでに俺の体を手放し、二歩ほど離れて袖で目を拭き、低い声で言いました。


「もう…大丈夫だから、先輩…今日は体育の授業だから、本当に偶然に会ってしまったんだ…」


「最近どうしたの?」


この説明を聞いた俺は思わず笑ってしまいました。


「私は…」


姜惜兮キョウシーシーは頭を下げて首を振って言った。


「何もない、ただ、私たちってふさわしくないと思って…ただ、…ただ負けてしまうかと…そう思うの」


「はぁ?」


少女が何度も後ろ下がる姿を見て、俺は混乱し、さらに尋ねようとしましたが、姜惜兮キョウシーシーはすでに背を向けて逃げていました。


薛勇シュエツヨシは両手を頭部の後ろを当てて歩き、姜惜兮キョウシーシーの前を通り過ぎ、顔を向けて少女の方向を追った。


「やあ、またいい物語を見逃してしまったようだね!」


この学校のいじめっ子って、相変わらず空気を読めないだぁ!


俺は去っていく姜惜兮キョウシーシーの背中を見て困惑してこう言った。


「ねえ、教えて、なんで女の子たちはいつも中途半端に話すのが好きなの?」


「サスペンス映画はいつもフックを残すのが好きで、真実を直接教えてくれないでしょう?賀監督、これはあなた自身が言ったことですが、忘れたの?」


「そういう使い方じゃないでしょう?」


「恋愛とサスペンスは同じ意味だよ。二人はお互いを推測し合う。あ、そういえばさっきそこでアオイちゃんに会ったよ。見てはいけないものを見てしまったみたいだけと、ちょっと挽回していかないの?」


薛勇シュエツヨシは何気なく言った。俺もそれを真剣に受け止めませんでした。


「見られたで見れば、俺だって毎日彼女の周りをうろうろするのは不可能だし、というか、何を挽回するのか?俺はそんなに重要なのか?今の彼女は俺と話すこともしたくないだったのに」


薛勇シュエツヨシは微笑みました。


「まあ、好きにしろう」


午後からは心理カウンセリングの授業が通常通り行われ、高校生たちはクラス内で円陣を組んでカウンセラーの指示を聞き、幼稚な信頼ゲームをしていた。


俺には他の人の心理がうまくなったか知らないが、今の俺が非常に罪悪感を感じており、ずっと周囲を見回すのをやめられませんでした。


なぜならば、授業がすべて始まったが、委員長である曹愛青ソウアオイの姿がまだ見ていないのだ。


側にいる薛勇シュエツヨシは時折彼をちらっと見て、冗談のようにこう言った。


「焦った?」


「別に」と俺は歯の間で悪意を持って呟いた。


「本当に素直じゃないだから。ねえ、今日は上機嫌だから、一つの秘密を教えてあげる」


薛勇シュエツヨシは突然不可解なことを言いました。


「もう、犬は象牙を吐きないから、さっさと言って」


「あのさ、さきからあの後輩が君を避けている理由を教えてあげようとしたのに、お前はこの態度から判断すると、おそらく知りたくないだろう?」


俺は黙っていた。


「知りたい?」と薛勇シュエツヨシがからかった。


「...」


「知りたければ、何か言え」


「言ってみろ!」


薛勇シュエツヨシは目を細め、ゲームを主催した先生が二人を見ていないのを分かって、真剣にこう言いました。


「覚えているか、あなたが初めて烟角巷エンカクコウのライブハウスで演出するとき、俺はモーメンツでお知らせをしたこと」


「うん、覚えている」


すると、薛勇シュエツヨシは顎を上げて、「実はその日、姜惜兮キョウシーシーも行った。二階だけと、ずっとあなたの演奏が終えるまでね」と言った。



俺は信じられませんでした。


「じゃあ…彼女はなんで…」


「なんで挨拶もしなかったかって、その日のことを思い出せ…」


「あの日、君がステージの上で、愛青アオイちゃんがステージの下で、演奏が終わったら、君がまっすくに彼女のところに行って、二人で笑ったり、話しったりして、意気投合であの雰囲気なら、誰を見てでも諦めてしまうでしょう?」


俺は黙って聞いていた後、姜惜兮キョウシーシーから連絡を取らなかったことの意味と、「負ける気がする」という話の意味を突然にわかった。


「それに、天然くん、兄弟として話すけと、君って本当に反省したほうがいいよ」


「何?」


薛勇シュエツヨシ は「チェ」と言い、「あのさ、元彼女も、君と委員長が両思いみたいな異常な関係がわかったのに、君っていつまで自分に嘘をつくつもりなの?」


俺は一瞬で混乱してしまった。


「それに、外は雨だけと」と薛勇シュエツヨシは天井を見上げて呟いた。


心理学の講師は、心理的恐怖を克服する方法を皆に熱心に教えていましたが、突然、一人の学生が素早く振り向いて体育館の外に向かって走ってしまったのを見えました。


「ちょっと、彼、どこ行くの?」


「先生、彼は忘れものがあって今取りに行って、すぐに戻ってくると思う」


心理学の講師は「そんなに緊急なのか?」と困惑した。


「はい、かなり焦っている。というか俺が見るだけで焦ってしょうがない」


薛勇シュエツヨシは話し終えた後、体育館のドアにいる俺の背中に向かって「急げ、早く!」と叫びました。


まだ体育館から出でいなかった俺は、本当に走り出しました。

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