第50話 最下位!!!

一週間後の6日、映画学院の結果ランキングを発表した。


今回は総勢28名が監督学科の最終試験段階に進み、その中から最終的に12名が入学者として選ばれることになる。


そして、三次試験の1位は依然として黎望レイノゾムであり、この成績ならほぼ監督学科への入学は確定とも言えるぐらいだ。


黎望レイノゾムは嬉しそうに成績を見て、すると遠くないところにいる賀天然ガテンネンを気づきました。


彼は賀天然ガテンネンの顔色がよくないのを見て、黎望レイノゾムも笑みを抑え、結果を聞くのをやめてもう一度リストを見直した。


賀天然ガテンネンの受験番号を思い出し、最初から最後まで探したら、ついに彼の番号を見つけました。


28位!?


二次試験で2位だった人にとって、この順位は…三次試験では半分の点しか取れないことに相当します!


何が起こっている?


これは親父が残いてくれた最後のチャンスとわかった!


「飛ぶならもっと高く飛んで、親父に捕まえられほど」


俺の心の中で静かに決めました。


28位からトップ12位まで引き上げることは不可能ではない。


しかし、28位からトップ3に入るのは難しい、非常に難しい。


俺はそれを考えながら三次試験通過した人を追って学院の劇場棟に入った。


港城映画学院にはこのような小さな劇場がたくさんあり、かつては大きな倉庫だったのですが、その後セメントの壁でいくつかの部屋に分かれるようになりました。


玄関を入るとすぐに250平方メートルを超える大部屋があり、劇場棟の中で最も広い稽古場でもあり、部屋の隅には劇場用の道具山が整然と積み上げられている。


いわゆる背景ブロックということは、実際には演劇の背景や舞台美術のための基本的なセットであり、家具や壁や、車、さらには戦車などもこのようなブロックで作り上げていくものです。


そして、実際に演劇劇場で見られるあらゆるシーンは、これらのブロックを布で覆うことがあります。


演劇学科の学生が最初に学ぶのは、風景ブロックを使用して背景を構築することです。宿題や試験の提出方法はすべて演劇コントの形式で行われ、それぞれのコントはこのブロックを使っている。


それ以外の小さい劇場は約60 ~ 70 平方メートルで、通常は演劇学科の学生のリハーサルや授業に使用され、毎日ここで人生のような物語の舞台が上演されていたため、学生は一般に劇場この建物は冗談めかして「酔生夢死の家」と呼ばれています。


監督学科の受験者28人が一番大きな稽古場に案内され、そこで一時待機してとの知らせが入った。


やがて、撮影学科の受験者も続々とやって来て、その数は監督学科と同じくらいで、やはりこの2つの科目は昔から兄弟のような関係でした。


この状態はさっぱりわからない、一般的に言えば、このような試験はそれぞれの科目に分かれているが、そう考えているうちに、また稽古場の扉の外で足音が聞こえた、更に大人数が来ることが想定される。


案の定、演劇学科の人たちも来ていて、今年の演劇学科の募集人員は60名だったので、今回の4次試験の受験者数も最多で、ざっと見たところ150名ほどでした。


最終試験となると、演劇学科の受験者は100万人に1人と言われ、監督学科と撮影学科は男子が多くのは有名で、50人以上の中に女子は2人だけ。


だから学生たち、そして彼らの才能については議論されません、外見は本当に良くないので、演劇学科の美しさを見て、ざわめきが起こり、一人も二人も美女達に目が釘付けになっている。


幸いなことに、数十人の試験官が列の最後尾に続き、彼らがリハーサルホールに足を踏み入れた瞬間、受験者の皆は静かにとなった。


年上の芸術的な雰囲気の女性教師が出てきて、みんなと向かい合った。


「今年の映画学院の試験は例年とは大きく異なります。監督と演劇学科の4次試験と撮影学科の三次試験が衝突したため、学校で検討した結果、共同試験という形で行うことを決定しました」


「皆さんは各自の専科に合わせて、24 時間以内に、90 秒以上 300 秒未満のショット映画を共同で完成させしてください」


その話しが発表されると、その場にいた全員が多かれ少なかれびっくりの声で叫んだ!


ショット映画の撮影? 24 時間にわたる極限の創作?


今までは、映画学院の試験問題には一度もまた高校生の受験者たちにグループがショット映画を撮影する前例はなく、普通このような課題は大学院入試に向けられることが多い。


学部生の場合は、通常、四次試験は映画分析と演劇コントのお題がほとんどでした。


なんにしろ、まだ高校生の彼らに、良いものを撮影できると思うのか?


つまり、この試験は各自の実力発揮を試されているのだ。


「隣の稽古場には、撮影機材や小道具、衣装などの準備が整っています。もちろん、先生のアドバイスは、まずはここで演劇学科の学生たちとよくコミュニケーションすること」


表面上は冷静だが、内心はすでに混乱している受験者たちを見て、女性教師は笑いが止まらず、時計を見ながらこう続けた。


「今は朝の10時ですが、明日の今頃、監督学科と撮影学科の学生は上映会場に集まり、演劇学科の学生はここに戻って着てください」


「よし、では皆さんはグループに分かれて、各グループには試験サポートの先輩がいるので、わからないことがあれば直接聞いてください」


「では、お知らせは以上、さあ、初めてください」と教師話しが終わった途端に、受験者達は一気に混乱し始めた!


「どうしよう、すっぴんだとカメラ映りがやばいじゃん!」


「どうしよう、どのカメラ使うのか?俺はデジタル一眼レフしか使えないし、映画用のカメラを使ったことがない、電源の入れ方すら知らない…」


「うわー、ムズ!何を撮るの?さっぱりわからない、あのさ、共同試験なので共同監督してもいい?それで、監督は君で、俺が執行監督で良いから、どう?」


しばらくの間、話し合い、苦情、叫び声などが絡み合い、俺も呆然とそこに立っていましたが、この状況に遭遇すればするほど、もっと冷静になるべきです。


すると、俺がゆっくりと後退し、みんなからちょっと離れた隅なところを見つけて座り、カバンからイヤホンを取り出して、曲を聞きました。


手に持ったブレスレットの珠をクルクルと回り、まるで傍観者のように今の状況を黙って見守っていた。


受験者の服には3次試験の順位を表すナンバープレートが付けられており、演劇学科は青、撮影学科はオレンジ、監督学科は赤となっている。


ユニット番号が大きければ大きいほど、より多くの人がその周りに集まります。なぜなら、現時点では、この番号が彼らのプロフェッショナルな強さを表すことを誰もが知っているからです。


俺のようなプロランキングの最下位にある受験者は、自ら協力する人を見つける必要がありますが、相手にされない可能性もある。


見慣れた視線が少年に向けられ、空中で賀天然ガテンネンと視線が合った。


それは演劇学科でNo.1レーベルの温涼ウェンスズミだ。


背が高くてほっそりした少女は受験者の中から彼を冷たく見ている。


俺は苦笑いしながら鼻をこすった。


前回、彼女に嘘をついた、それでまた怒っているに違いない。実際、それは嘘とは言えませんよね?


ただ、すべてを言っているわけではありません。


でも、今彼女にちゃんと話せば、もしかしたら状況は良くなるかも?


だって、演劇学科ナンバーワンの温涼ウェンスズミは、カメラの前に立っているだけで、すでにこの映画に多くのポイントを加えています。


ここに従おうと思って、俺が温涼ウェンスズミに向けて歩き、話そうとしたとき、彼女は、振り向がって、ちょっと遠く離れている黎望レイノゾムに向かって歩きました。


まるで、わざと俺を待ってくれて、そしてこのように離れていく。


俺さんは足を止め、黎望レイノゾム温涼ウェンスズミが親しげに話し合うのを眺めていた。


少年は撮影のアイデアを絶え間なく話し、少女が真剣にうなずいたとき、俺の心には話せないがっかり感が湧き上がった。


もし、普段なら大丈夫だ。


しかし、なぜ俺は映画学院の試験場所に立ったのか…


彼女が『彼女』ではないとわかっていても、俺の心臓はやはり二度ほど痛みを感じた。数回息をつき、リハーサルホールで何が起こったかを観察し続けた。


誰もが 1 位にランクされるメンバーに加えて、プライベートで一緒に親しい人を見つけることも優先します。


例えば、同じスクール出身の温涼ウェンスズミ黎望レイノゾムのように、お互いのことをよく知っており、話しやすいし、基本を知っており、それぞれの能力と利点を知っており、互いに協力し易いのだ。


「人は群れごとに分かれる」という言葉は、まさに現在の状況に最も適した解釈だ。


すでに何人か「グループ」を結成しており、黎望レイノゾムのグループには撮影学科の1位と演劇学科の上位3名も集まられた、まさに「魔王チーム」とも言える。


俺が上位ランキングを獲得することの難しさはますます大きくなっている。


俺が望んでいたのは、12位に入り込んで、合格ラインを獲得するという簡単な目標ではない。


今回、負けたら本当に人生の完全敗北になる。この状況に俺がイライラしながらこめかみを押さえた。


「ねえ、あのさ、それって星月菩提珠せいげつぼだいじゅなの?」


このとき、北京出身の人の声が耳元で聞こえた。


俺が振り向くと、自分と同じくらい背が高く、魅力的な一重の目をした少年がポケットに手を入れ、黒い糸帽子をかぶって俺に質問しに来た。


俺の答えを待ってなく、相手はすぐに身をかがめ、俺の手の中にある星月菩提珠せいげつぼだいじゅを注意深く見ました。


すると、彼の首にぶら下がった赤い糸で結ばれた「山鬼の金銭」がわずかに空中に揺れていました。


俺は相手のナンバープレートを見た——


オレンジ15だ。


渡されたブレスレットを見て、撮影学科の15号はハッと顔を上げた。


「こんにちは、賀天然ガテンネンです。監督学科の最下位」


黒い糸帽子をかぶった少年はそれを聞いて笑って言いました。


「こんにちは、撮影学科の蔡決明サイキヨアキです。あとこれは…」 すると、彼はナンバープレートを引き裂き、無造作に地面に投げつけた!


「まあ、それは適当にさ」

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