第46話 彼は中心となった

ここにいる面接の先生達は思慮深い人ばかりで、表情だけでは何の情報も取れないようだ。全員が自己紹介をした後、先ほど説教した助教授がスピーカーをオンにした。


「では、二次試験の第一問です。この音楽を聞いて感想を教えてください。」


用意された外部スピーカーにスマホを接続すると、突然フラメンコ風の音楽が流れ、密度の高いドラムビートと素晴らしいギター演奏は、踊るジプシーの少女を思わせます。


しかも、その子が赤毛で膨らんだ白い胸をして、歌って踊った後、野郎のような船員たちの腕の中に転がり込み、口を開けて笑いながら劣性なウォッカを飲みました。


あっという間に音楽が終わり、面接官にある女性の先生から先に質問をし始めた。

「この曲ならどんなシーンに相応しいか教えてください」


「もちろん、熱愛しているシーンですね」


「同感です。ロードムービーのような一目惚れで主人公とヒロインの愛情が昇るシーンに相応しいね!」


「アクション映画にもいいじゃんない、テンポの速い編集に合わせれば、簡潔に明快なシーンにも合う」


受験生たちは積極的に意見を述べ、時には顔を真っ赤になるまで議論を交わった人もいった。


「『Guitar on Fire』は情熱的な曲で、フラメンコスタイルもロマンスと情熱ですが、ロマンスは必ずしも愛を意味するではない」



「『フラメンコ』という言葉はアラビア語で『放浪者』を意味するので、先の方が言っていたロードムービーというアイデアには同感ですが、ただ、恋愛に限らない。なぜなら『放浪』という言葉もロマンチックだから。


彼は曲名だけでなく、曲のスタイルの意味も言えるなんで、周りの皆が彼を驚くように見ていました。


「もし私が監督だったら、この曲を人が考える時のシーンを使うかもしれません...」と彼は、顎をこすりながらゆっくりと説明しました。


そこで、まだ彼が言った「愛」に限らないという考えに束縛された受験生は、「考のシーンって何がロマンですか?」と言い返された。


「考えるとは、パソコンの前に座って場合や、研究室で世界的な難問を考えることもある。この曲を聞くと、聴衆は彼の頭から湧き出る無限のインスピレーションを想像し、主人公は非常にスムーズに考えが進んでいる期待感とワクワク感を与えられる、これこそ天馬が空を行くようなロマンスと思う」


「しかも、この曲は『カウボーイビバップ』のようなSF作品にも向いています。宇宙船が星の海で飛ぶし、果てしなく続く未知の領域に直面するとき、それは恐怖ではなく情熱と興奮を示す、星の海そして男のロマンだ」


「これらはロマンではないとあえて言いますか?描くシーンがないですか?」


彼が提案した話しは、前者は動的かつ静かな表現方法であり、少年は固定観念を打ち破り、人々の聴覚を利用して情報を伝え、空間における疎外感を表現しています。


いずれにせよ、この時点で彼はすでに映画的な思考と芸術感を備えていたことを証明できるようになったと面接の先生達がお互い目を合わせました。


「君、よくこの歌を知っているね!」と女性の面接官は笑顔で尋ねた。


「はい、この曲を弾いたAlex Foxは憧れの存在で、実は、この曲を弾いたこともあるので、練習する際に、たくさんの弦を切ってしまいました。残念ながら、今日はギターがなく、お見せできないのですが……」


質問をした女性の面接官は俺を見て、微笑みながら頭を頷きました。すると、ヤギひげを生やした老人はこの時に、突然聞かれてきました。


「若者よ、去年は何回の恋をしましたか?」


「二…二回」


俺は思わず口を滑らせた!それを聞いたこの場にいる面接官たちも、口角がわずかにピクピクと動いた。


彼の「ロマン理論」を話した以上、残りの受験者がそれについての議論が意味もなくなってしまった。


一番目の音楽問題は想像力を試すならば、二番目の質問、映像関連は監督の基礎的なスキルを問われるものである。


まずムービーを100以上のショットを再生し、その後受験生たち全員が一人ずつカットの数を復唱することだ。


復唱するときは、各ショットの内容を伝えるだけでなく、シーンやカットの長さも伝えるとよいでしょう。


ムービー再生後、誰もが最初に復唱しようとしました。バカな人がいない、このような問題はやはり最初にやったひとの方が有利で、遅ければ遅いほど記憶が曖昧になり忘れやすいからだ。


再生された映像は非常に断片的でリズムも速く、シーンや内容を記憶しなければならないため、その場にいる誰も具体的なカット数を知ることができません。


これまでのところ、一部の受験者が報告したカット数は243本と比較的に近い、更に彼は23本のシーンを完全に復唱できるため、非常に良い結果を残している。


今は俺だけが復唱していなく、目を閉じてブレスレットを手に撫でで、音を立てませんでした。


間でシャーデンフロイデの笑い声が受験者の間に響き、時間が立っていて忘れてしまったと誰もが思った。


先程、彼は結構目立っているため、誰もが嫉妬を持っていました。


(こんな時に、ブレスレットを撫でるなんで!?)


(ふざけているの?)


そして、ヤギひげを生やした老人は、彼のブレスレットを見て、目を細めてささやきました。


「計算できた?」


「はい、先生。全部で 287 カットです。」


ヤギひげを生やした老人は「そのとおり」と微笑んだ。


受験生たちは大騒ぎで、誰でもカット数を数えることができたが、問題はフィルムが長すぎてカウントする際に1~2枚見逃してしまうか、或いはペースが速すぎて、数えることは不可能でした。


(彼はどうやって一つも漏れなく数えたのか?)


ヤギひげを生やした老人は他の受験者を見回し、「他人はあなたの前でカンニングしているにもかかわらず、そこでシャーデンフロイデする時間があるなんで、反省したほうがいいよ」と真剣に言いました。


俺は恥ずかしそうに舌を出し、ブレスレットを二回巻き付けて手首に戻した。


菩提珠のブレスレットはもともと、修行する人々が数を数えるための道具でした。


もちろん、俺はカット数を数えるという基本的な監督向けのスキルを練習しました。そこで、自然的にカット数を見ながらこのブレスレットを使って数えるようになった。


「君さ、これは得点できないよ。」とヤギひげを生やした老人は微笑んでいた。


俺は彼の表情を見て、この老人はご機嫌であることがわかった。まあ、これは大した事がない、なぜならば、この質問の焦点はシーンの内容だから。


俺がブレスレットのおかけで、カット数のカウントより早くもシーンの内容に集中することができ、記憶に従って復唱し始めた。


「最初のカットは、人間の目の瞳孔から始まり、クローズアップ、0.5秒です」


「...」


「38番目のカット、草原のパノラマ。これは映像の中で最も長いショットで、長さは約5秒です」


最終的に俺が40番目のカットのときに間違ってしまい、女性の面接官より止められた。


「OK、39個も復唱できるのは、素晴らしいことだよ。大学四年生でもそんなに多く覚えられないよ」


彼女の周りにいた何人かの同僚もなずき、するとヤギひげを生やした老人もこう告げた。


「さて、皆さん本日の二次試験は終わりました。結果発表の日は学校の公式サイトでご確認してください。当日合格した受験生は、身分証明書と受験証明を持って、三次試験の手続きしてください」


受験者の全員は椅子から立ち上がって軽く一礼し、面接試験終了後かもしれませんが、面接官たちの表情も柔らかくとなり微笑んでいます。


ただ、彼らがその目先にいるのは、すべて同じ人と分かった。


かつての賀天然ガテンネンは注目を集める才能がありませんでした。


しかし今の彼は人々の中心になっています。


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