第16話 もういいよ

「ふと思ったんだけど、曲を変えてこんな風に弾いてみたらどう?」


俺は頭を上げ、沈黙の後、再び微笑んだ。


姜惜兮キョウシーシーは困惑した表情を浮かべていたが、おデブの朴店長はこのギターが彼にとってどれほど重要かよく知っていた。


部外者として、ここ数ヶ月で少年の変化も目に焼けたほど、しばらくの間頷いた。


「いいよ、やってみて」


手のひらをなでると、しばらくして、彼は音階の一部を失った不完全な曲を演奏しました。


姜惜兮キョウシーシーはそれを聞いて、すぐにJayChouの別の曲であることに気付きました。


切れた弦!


惜兮シーシーちゃん、俺が演奏できない部分を手伝ってくれない?」


俺は足でリズムを叩き、演奏できない音符に遭遇したとき、ビートを与えた。彼女はこれを聞いて慌てて、なんとかリズムについていった。


この一見実現可能な演奏方法は、実際に操作するのは非常に困難で、二人共曲を十分に理解し、音楽に集中しなければいけない。


少女は初めてこんな弾き方だし、あまりにも突然だったから、間違い多いにも仕方がない。


「これこそ本当の『切れた弦』だね!いいね、面白いと思う」と朴店長はそれを見て微笑みながら言いました。


「どう?こんな弾き方なら結構話題性があるでしょう?お店の注文にも少しアップするだろう!」


朴店長は唖然とし、前の彼なら絶対そんなのを考えもしなかった。


惜兮シーシーちゃん、結構上手だから、もう少し練習すれば、もっと上手にできるよ、一緒に練習しようか?」


少し落ち込んでいる姜惜兮キョウシーシーを見て、俺は慰めました。


「うーん!」少女は勇気づけられ、少しうれしそうに見えたが、眉間はまだ少し自信が足りなそうだ。


二人は再び演奏し始め、彼女も徐々にペースに合わせるようになり、しばらくすると、滑らかな「切れた弦」が店内で流れていく。


だが、二人の差がまだ大きく、まるで賀天然が前に進む、彼女は後ろで追いつくような感じでした。


でも、これを簡単に解決できる。


朴店長はすでに機材を移してレコーディングを開始しています。ポストエディットとリミックスの調整により、この差をうまく埋めることができる。


その後、二人はさらに10回ほど練習し、俺はそれで十分だと感じたので、彼女に「惜兮シーシーちゃん、次は『愛は紀元前から』にしよう、先の予備の弦をくれないか?」と聞いた。



姜惜兮キョウシーシーはまだ演奏している音楽に没頭していて、目がかすんでいて、バッグに手を入れていましたが、今回は弦を取り出さなかったので、少女は不安そうに尋ねました。


「続けなくていいの?もう少し足りない…気がする…」


「いらないよ、お嬢さん。先程何曲も録音したから、後で一番いいパートを選んで編集すれば問題ない」


その時、朴店長はぼろぼろのモニターイヤホンを外し、笑顔で言った。


俺も無関心にあごをうなずいたが、耳のすぐそばで姜惜兮キョウシーシーの頑固な答えが聞こえた。


「でも…でも上手く弾けそうにない…」


それを聞いて、少年とおデブ店長は顔を見合わせた。


「兄さん、少し時間をくれませんか?きっと上手に弾けるから!」


姜惜兮キョウシーシーは願いながらいいましたが、俺も答える前に、彼女は頭を下げ、一人でギターを片付けました!?


「今日はダメなら明日、明日ダメなら明後日でもよい、できると思えば、俺のところに来て」と俺は少女の反応に驚かず、しばらく黙って静かに言いました。


姜惜兮キョウシーシーはギターを片付けると一瞬凍りつき、表情がはっきり見えずに「うん」と返事してくれた。


彼女はバッグを背中に戻し、勇気を持って俺を見ました。途方に暮れた目には、臆病さが減り、よりしっかりしたものになりました。


しばらくして、彼女が店を去って行った。


朴店長は二人のやり取りにわけもわからなく、ただ彼女の後ろ姿をみて、思わず俺に賭けてみようとした。


「あのさ、今追いついたら、君たちの間に物語が起こるはず」


俺も去っていく少女の背中を見て、微笑みながら首を振り回した。


「そんなにたくさんの物語が俺に出会えるの?」


おデブの店長は首を横に振って、やはり不可解な表情で、俺に聞いた。


「あのさ、彼女はなんでいきなり出ちゃったの?」


俺無表情で店の隅に行き、新しい弦を2本手に取り、慣れた手付きでギターに交換しました。


「もしかして……俺が間に合わせすぎて……」


朴店長は、「もっと率直に話して?どういう意味?」と聞かれた。


「まるで…洋服が破れているように…破れたら、パッチが必要、だがいくら技術が高い職人さんでも、他人からその跡がわらなくでも、そこにはただのパッチだと洋服を着る人と職人は知っている」


「ねえ、今の時代では、誰かパッチの付いた服を着るか?」と朴店長はますますわからなく聞いた。


「そうね…それが問題だ、今ところ誰がパッチの付いた服を着たいと思う?」


俺はどうしようもなく言いました。


おデブ店長は「チッ」と声を上げ、ようやく理解したが、尋ねずにはいられませんでした。


「お前さ、もう十分でしょう?何ヶ月も耐えてきたけと、いつになったら正常に戻るのだ?」


俺は新しい弦を2回弾き、音色は以前と同じ、ギターの音と一緒に答えるように、「何が正常であろうとなかろうと、俺は大丈夫だ」


「じゃあ、温ちゃんを誘いして、もう一度一緒に歌おう?」とおデブの店長はあごを撫でて言った。


「ちょっとやりすぎよ!」


「それで、正常なの?」


「傷口を突いたら、だれでも跳ねるでしょう?」


「ねえ、今あの子を追いかければまだ間に合うと思うよ、あの後輩も悪くないし、君はウェンちゃんとのルードはBADENDたけと、別のルードに変えてもいいじゃん」


朴店長はそれを聞いて、再度俺を煽られせた。


「もうENDだけど、ルード変更もできるかよ?」と俺は微笑みながら聞いた。


「二週目はプレイしたことない?器が小さな、まあ、これで確かに正常に戻ったってわかるさ」


「ハァ?」


「自分をからかうことができて、多少は分かってきたじゃない?」


「じゃないと、一緒にいたくでも誰も見つからない」と俺はため息をついた。


「本当に死んでも知らんぶりするの?そこまでなの?」


「うん、まだ会ったら、本当に抜け出せなくなるから、ただ…もういいよ…」


「まさか、俺が物語を持つ男子の生まれを目撃した者だったなんで!」


「絶望的だな、ボスパク~」と俺はギターを弾き、「ミスドン」の曲に合わせて低い声で歌いました。


あごが三層のデブ男は、からかわれて笑わずにはいられませんでした。


...


...


姜惜兮キョウシーシーは夜、何度もギターの練習をしていたが、弦を長時間押さえていたため、指が赤く腫れ上がり、指先からタコが飛び出していたが、まだ痛みが残っていた。


突然、電話の画面が明るくなり、彼女がWeChatを開くと、チャットバーの一番話したかった人から、音声メッセージを彼女に送信しました。


クリックすると、それは多くの音符が欠落している曲なのに、彼女はただ、なんとも、なんとも聞きました。

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